「昼より夜に微小地震が多い」のは人間活動の雑音が原因なのか -T12

11月の末、WSは天地がひっくり返るほど驚きました。 この1年あまりの努力が完全に無に帰する(かも知れない)瞬間を味わったからです。 昼と夜の地震発生数に見られる10パーセントほどの違いはなにが原因なのか。電磁的なものだろうか。そのメカニズムを解き明かして、可能ならば地震予測に役立てたい、というのがこの1年あまり、WSの頭の大きな部分を占める考えでした。 (参考 関連記事 その他の関連記事) どこか甘く、楽観的な想像を楽しみ、研究の道の厳しさを忘れたWSの浮ついた頭を思いっきりぶん殴ってくれたのは、zakzakというサイトに掲載された島村英紀博士の次の記事です。 難解な地震の法則性 「月の引力が地震の引き金を引く」説は? ht...

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地震活動の24時間周期の乱れから大地震を予測する試み(北アメリカ西部)-T11

前回の記事では、M7.5以上(あるいはM7.0以上)の大地震の前には、微小地震発生数にみられる24時間周期の<位相>が乱れる、という「発見」について触れました。 これは、大地震が起こった後で、その周辺地域の微小地震活動を日付をさかのぼって調べてみると、24時間周期の「乱れ」が見いだされる、という話です。 もし、この話を逆にできるならば、つまり、微小地震活動を広域でモニタして、24時間周期の大きな「乱れ」が起きている地域には、将来(たとえば「乱れ」が収束したときに)、大地震が発生する、ということがもし言えるならば、地震予測につながります。 今回はその可能性を探求してみます。 前回の記事で、微小地震発生数にみられる24時間周期の...

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大地震の前には地震活動の24時間周期の位相がずれる(北アメリカ西部) -T10

明けましておめでとうございます。 今年のブログは、「大地震の震源の周辺では、地震の数年前から、微小地震発生数にみられる24時間周期が乱れる」という発見(?)の話で始めたいと思います。 昨年末の記事で、M7.5以上の大地震の震源の周辺では、地震の数年前から、どうも微小地震発生数にみられる24時間周期の振幅が大きくなるようだ、と述べました。 この年末年始に、もう少し規模の小さい地震(M7.0〜7.5)についても調べてみました。すると、24時間周期の<振幅>については変化をみにくいのですが(*1)、<位相>(=1日24時間のうちで微小地震発生数が最多になる時刻や最少となる時刻)は明瞭な変化を示すことがわかりま...

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大地震の前には地震数の昼夜の違いが大きくなる(北アメリカ西部)-T9

みなさま、お久しぶりです。 大地震の前にはわずかな潮汐力でも地震の引き金に 「なゐふる」という日本地震学会の広報紙2012年10月号(pdf) p.2〜3 に、たいへん興味深い記事が載っていました。 巨大地震の前兆? 1 地球潮汐が「最後の一押し」 防災技術研究所 田中佐千子 氏 がその記事です。 ひずみが十分にたまった断層では、地球潮汐(=月や太陽の引力の場所による違い)のわずかな力が地震の引き金になる可能性が高い、とのこと。 2011年3月11日に発生した東北沖地震の前後に、周辺で発生した地震を調べたところ、1976年以降の約25年間は、地球潮汐と地震発生のタイミングに相関関係はみられなかったが、2000年ごろからこの...

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海陸分布と地震発生時刻に関係あり---太平洋は巨大なシールド -T8

<今回の内容> ・大陸の東岸では真夜中すぎに、西岸では真夜中前に地震が発生しやすい ・地球のどこでも、太平洋が昼間のときに地震が発生しやすい ・グローバルな地表電流は地震発生を抑制するのではないか? ----- 前回の記事からずいぶんと時間が経ってしまいました。1日のうちで地震の起こりやすい時間帯について新たな事実に気づいたので報告します。 いきなり結論から述べますが、新たな事実というものを図にしますと次のようになります。根拠となったデータについてはあとで詳しく説明します。 図1 (クリックで拡大) まず、地球のどこでも昼間より夜間の方が2割ほど地震発生数が多いわけですが、これについてはすでに以前の記事でも指摘していました...

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地殻とマントルで地震の発生しやすい時間帯が異なる---北アメリカ西部の場合 -T7

ここしばらくWSの関心は「地球上のどこでも小さな地震は夜中に発生しやすく、昼間に発生しにくい。 地震発生数は夜間には日平均の約15%増となり、昼間には約15%減となる」という興味深い事実に向いています(*0)。 どうして地震発生数に時刻による違いが生じるのか。 この疑問の答えを探るために、基礎的なデータをいろいろ眺めて考えています。 日本周辺にくらべて地下の構造が単純な北アメリカ大陸西部のデータ(ANSSの地震カタログ)を用いて、地震の発生しやすい時間帯(最頻発生時刻)が震源の深さによってどう異なるか、を調べてみました。 すると、モホ面(=地殻とマントルの境界面)を境に、最頻発生時刻が大きく異なることがわかりました。 モホ面...

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地震波速度と最頻発生時刻の分布(2)震源の深さ別 -T6

前回の記事では、地震波速度の遅い領域と速い領域の境界部分で、最頻発生時刻が真夜中から大きくずれる、という関係があることを、4つの地域の鉛直断面図を見ることで確認しました。 今回の記事では同じ事実を、震源の深さ別に日本周辺の平面図で確認します。 やはり、「やわらかい」領域と「かたい」領域の境界付近で、最頻発生時刻が真夜中から大きくずれる傾向が見られます。 解析の期間(2006年12月〜2011年1月)は前回までの一連の記事と同じです。 地震データは気象庁一元化震源、地震波速度のデータは防災科研(2011)による日本列島下の3次元地震波速度構造モデル(海域拡大版)を利用させていただきました。 では、震源の深さ別に地震波速度と...

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地震波速度と最頻発生時刻の分布 (1)4つの地域別 -T5

小さな地震は真夜中に発生しやすいのですが、地域や深さによっては最頻発生時刻が真夜中の少し前であったり後であったりする。 真夜中より後になる領域は、どうも震源域の直下にあるようだ、ということを前回の記事で報告しました。 一方、従来より、震源域直下の地殻あるいは上部マントルには、地震波の速度が遅くなる領域(流体を含む?)がしばしば存在することが知られています。 そこで、最頻発生時刻の分布と、地震波速度の分布を直接くらべてみるのは興味深いことです。 今回と次回の記事でその比較を行います。 結論から述べますと、両者にはやはり関係があるようです。 ただし、当初考えていた、地震波速度の遅い領域で最頻発生時刻が真夜中より後になる、という...

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震源域の直下では最頻発生時刻が遅い---流体が関与か -T4

前回の記事では、気象庁一元化震源リストの約6年分のデータを解析して、日本周辺でおきる地震の発生時刻に見られる次のような特徴を紹介しました。 地震は昼間より夜間に発生しやすい。 昼間の地震発生頻度は日平均より15%ほど少なく、夜間の発生数は15%ほど多い。 最頻発生時刻(Local Time)はおおむね真夜中頃であるが、地域や深さによって数時間の違いがある(*1)。 最頻発生時刻を震源の深さ別に大きく見ると、地表付近では午前0.5時頃で、深くなるにつれ最頻発生時刻は徐々に遅くなり、深さ100km付近(リソスフェアとアセノスフェアの境界?)で最も遅くて午前1.5時頃となる。 さらに深くなると最頻発生時刻は早まり、深さ200km付...

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日本周辺でも地震は夜間に多く発生する -T3

前回の記事では、USGSの約11年分の震源要素データを解析して、世界のどの地域でも地震は夜間に発生しやすい、という事実を紹介しました。 また、深さ100kmあたり(リソスフェアとアセノスフェアの境界付近?)と深さ30〜40kmあたり(地殻とマントルの境界付近?)に、最頻発生時刻が特異的に遅くなる領域が存在すること、および、複数のプレートが重なり合う地域では、深さ(プレート)によって最頻発生時刻に違いが見られることも指摘しました。 今回の記事では、日本周辺の地震に限定して同様な解析を行います。 結果を先に述べますと、やはり、地震発生時刻に上記と同様な特徴が見られることがわかりました。 たとえば、真夜中の地震頻度は平均的な値より1...

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