カテゴリー「地震電磁気11」の16件の記事

15. T2.世界のどこでも地震は夜間に多く発生する

前回の記事では、日本付近で発生する地震について、地震は昼間より夜間に多く発生するという事実を紹介しました。 今回は、M2.0以上の世界の地震について時刻別の地震発生数(11年間)を調べてみました。

その結果、世界のどの地域でも、地震はやはり夜間に発生しやすいことがわかりました。 太陽の地震活動への影響が示唆される結果です。

震源の深さ別にみると、ごく浅い地震は深夜0時頃に発生しやすく、震源の深さが深くなるにつれて徐々に最頻発生時刻が遅くなり、深さ100kmあたり(リソスフェアとアセノスフェアの境界付近?)で最頻発生時刻が午前2〜3時ごろともっとも遅くなります。さらに震源の深さが深くなると、最頻発生時刻は徐々に早まって、深さ200kmで午前0時頃に戻ります。

また興味深いことに、深さ30〜40kmあたり(地殻とマントルの境界付近?)に、最頻発生時刻が特異的に遅くなる領域が存在します。

震源の地域別・深さ別に最頻発生時刻の分布を調べると、複数のプレートが重なり合う地域では、深さ(プレート)によって最頻発生時刻に違いが見られることもわかりました。

今回の記事ではこのような事実を報告します。


世界のどこでも地震は夜間に多く発生するのか

図1は、米国地質調査所(USGS)のデータベースより、2000年1月1日から2010年12月31日までの11年間に世界で発生したM2.0以上で震源の深さが200km未満の地震(約25万個)について、時刻別の発生数を表したものです。 UTCは世界時、Local timeは震源の場所での時刻を意味します。


Freq_local_utc
図1(クリックで拡大)

青色の棒グラフ(Local Time)を見ると、地震が夜間に多く、昼間に少ないことがわかります。 また、正午付近に小さなピークがあります。 いずれの特徴も、前回の記事で調べた日本付近の地震データにも見られました。

この地震発生数の偏りは、単なる統計確率的なゆらぎでは説明できないものです。

1時間あたり約1万個の地震が発生していることを考えると、1時間あたりの地震数に生じ得る、統計的なゆらぎの大きさはおよそ標準偏差でσ=100個程度です。 一方、青色の棒グラフではピークの地震数は午前3時台の11400個、最小は午後2時ごろの9700個ですから、その差1700個はおよそ±8σほどの発生数の偏差を意味しています。 これはとても偶然では説明できない大きさです。

なお、オレンジ色の棒グラフ(UTC)で見た発生時刻にも偏りがみられます。 この偏りは、Local Timeでみた場合に発生時刻に偏りがあることと、地震発生数が経度に対して一様に分布していないこと(図2参照)が合わさった結果であろうと思います。

Freq_lon
図2(クリックで拡大)

次の図3と図4は、地球を経度幅15度ずつの帯に分けて、各帯内で発生した地震の最頻発生時刻を調べたものです。 最頻発生時刻の求め方(定義)については前回の記事をご覧ください。

Lon_utc
図3(クリックで拡大)

図3は世界時での最頻発生時刻と震源の経度との関係を示したものです。 東へ行くにつれ、最頻発生時刻が早まる様子が読みとれます。

Lon_local
図4(クリックで拡大)

図4はLocal Timeでの最頻発生時刻と震源の経度との関係を示したものです。 地球上のどこでも、最頻発生時刻は真夜中付近であること。 西半球では真夜中か、真夜中より数時間早いこと。 東半球では真夜中か、真夜中より数時間遅れることが読み取れます。


震源の深さと地震の最頻発生時刻

図5は、震源の深さと地震の最頻発生時刻との関係を示します。

Dep_local
図5(クリックで拡大)

たとえば赤色の折れ線の場合、深さ40kmのところでの最頻発生時刻(Local Time)がおよそ午前2.6時となっていますが、これは深さ30kmから50kmの範囲内で発生したすべての地震(の集合)について最頻発生時刻を求めると午前2.6時である、ということです。 青色の折れ線の場合は深さ35kmから45kmの範囲で同様な量を考えています。

大きく全体を見ると、深さ80〜100kmで最頻発生時刻は最も遅くて午前2〜3時となっており、それより浅くても深くても最頻発生時刻は早まります。 地表付近(深さ0km)と深さ180km付近では、いずれも最頻発生時刻はほぼ真夜中(0時)となっています。

細かく見ると、深さ30〜40km付近に、最頻発生時刻が午前3〜5時と遅くなる特異な領域が存在します。 この深さが地殻・マントル境界の深さとほぼ一致しているのは興味深いことです。

 

地震の最頻発生時刻の地理的分布

図6は、世界の地域別の、地震最頻発生時刻の分布を表しています。

Lon_lat_maxhour
図6(クリックで拡大)

地域による違いが複雑に入り組んでいます。 しかし大きく見ると、西半球(と南半球)では最頻発生時刻がおおむね真夜中(0時)より少し早く、東半球(と北半球)では少し遅いことがわかります。

図7は参考図で、世界の地域別の震源の深さの平均値を示します。

Lon_lat_dep
図7(クリックで拡大)

図6で見た最頻発生時刻ですが、震源の深さ別に分類して示すと、次の3つの図8〜図10となります。 順に、震源の深さが30km未満、30〜40km、40km以上の場合です。

Lon_lat_maxhour30
図8(クリックで拡大)

Lon_lat_maxhour30_40
図9(クリックで拡大)

Lon_lat_maxhour40
図10(クリックで拡大)

たとえば、南緯30度、西経180度付近(ニュージーランド北東沖)に注目します。 この地域は、図8では赤色、図10では青色に色分けされています。つまり、浅い地震は真夜中より遅く、深い地震は真夜中より早く、最頻発生時刻を迎えており、深さによって最頻発生時刻が異なっています。

ニュージーランド北東沖は、太平洋プレートがオーストラリアプレートの下に沈み込んでいる地域です。
(たとえば http://ja.wikipedia.org/wiki/プレート 主要なプレートの位置図 を参照)

もう一つ、北緯50度、東経180度付近(アリューシャン列島南方)に注目します。 この地域は、図8では青色、図10では赤色に色分けされています。つまり、浅い地震は真夜中より早く、深い地震は真夜中より遅く、最頻発生時刻を迎えています。

アリューシャン列島南方は、太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでいる地域です。

今回はここまで。 ではまた。

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14. T1.地震は夜に多く昼に少ない---太陽が地震活動に影響?

以前の記事で地震電磁気現象についてのNASA Ames研究所のF T Freund博士の講演を紹介しましたが、博士の最近の講演

Living with a Star, Dangerously - Friedemann Freund
http://www.youtube.com/watch?v=Ndj85uAHrPg

がYoutubeにあがっています。 この動画の中で「地球上のどこでも、地震は真夜中に多くて昼間に少ない」という事実が紹介されていて、たいへん驚きました。

太陽が地震活動に影響しているなんて全く信じられない。 影響がありそうな物理プロセスの見当がつかないのですが、日本付近の地震の統計をWSがとってみても、確かにそうなっています。

動画から図を引用します。

Fig1
図1 オーストリア・アルプスでの時間帯別地震回数(Freund博士の上記講演より)
(クリックで拡大。以下の図も同様)

長年にわたる統計でも、最近の群発地震の統計でも、地震活動の日変化は、夜中に地震が多くて昼間に少ない。ただし正午付近に小さなピークがある、という特徴を持っています。

 

日本周辺ではどうなのか

日本周辺でも地震は真夜中に多くて昼間に少ないのでしょうか。

防災科研Hi-netのHPからダウンロードさせていただいた気象庁一元化処理 震源要素で調べてみました。 約4年分(2006年12月〜2011年1月)のデータです(*)。

Fig2
図2 日本周辺での時間帯別地震回数(M0.0以上)

マグニチュード0.0以上の地震については、日本周辺でも真夜中に地震が多く、昼間に少ないことがわかります。 正午付近に小さなピークがある点も、上記アルプスのデータと同じです。

真夜中の地震頻度は平均的な値より15%ほど多く、昼間は逆に15%ほど少なくなっています。

地震発生頻度に見られるこうした偏りは、統計確率的なゆらぎでは説明ができないほど大きなものです。

なぜなら、各時間帯の平均発生数は約20000回なので、偶然に起こり得るゆらぎの大きさはおよそ、標準偏差で

シグマ σ ≒ √20000 ≒ 141 回

の程度ですが、観測された偏差はおよそ ±3000回 であって、偶然では説明がつかないからです。

(WSは地震計についてほとんど何も知りませんが、たとえば地震計の感度が夜間に上がり昼間に下がる、といった観測面に原因がある可能性も、まったく考えにくいことだと思います。)

 

地震が発生しやすい場所は太陽とともに移動するのか

上の図2では地震発生時刻は日本標準時で考えました。 しかし、たとえば明石市(東経135度)で正午に太陽が南中しているときに、千島列島(東経150度)では太陽が南中してからすでに1時間が経過していますし、逆に台湾(東経120度)では南中までまだ1時間あります。

もし、地震の発生頻度が太陽の方向に影響されているならば、地震が最も起こりやすい時間帯や起こりにくい時間帯は、経度によって違うはずです。

そこで日本周辺地域を、東経120度から153度まで、経度幅1度の34本の帯(おび)に分けて、約4年の解析期間内に観測された、各帯(おび)で発生した地震について地震が一番発生しやすい時間帯(「最頻発生時刻」と呼びます)を調べてみました。

ここでいう「最頻発生時刻」とは、全体として地震が発生しやすい時刻のことです。 詳しい「最頻発生時刻」の求め方(定義)を以下の図3で説明します。 例として5つの地震が発生した場合を考えます(実際には各帯(おび)で数千から数万個の地震が期間内に発生していますが)。

Fig4
図3 ある期間内に発生した地震たちの「最頻発生時刻」の求め方

まず円を描いて、円周上にアナログ時計の文字盤のように0から23まで等間隔に目盛をつけます。

次に、地震が発生した時刻に応じて円周上に地震の数だけ点をつけていきます。 図3の例では、0時、3時、6時、9時、16時30分の5つの位置に印がつきます。

さらに、円の中心から、いま印をつけた円周上の各点に向けて矢印を描きます。矢印の長さはすべて円の半径と同じです。

最後に、これらの矢印の(平面ベクトルとしての)ベクトル和を求めます。このベクトル和が指し示す方向(時刻)を「最頻発生時刻」と定義します。

そうやって調べてみると、震源の経度と最頻発生時刻(日本標準時)の関係は次のようになりました。

Fig5
図4 震源の経度と最頻発生時刻

最頻発生時刻は、真夜中の0時から午前2時ごろです。 東へ行くほど最頻発生時刻が早くなる傾向が読み取れます。

早くなる割合は経度1度につき0.0687時間、つまり、経度15度につき約1時間です。 15度は、ちょうど地球の自転により太陽が1時間に天空で描く角度です。

地震活動が活発な(あるいは不活発な)場所は太陽とともに動いて行くのではないか、と思われます。 それを確認するために、図4のたて軸を日本標準時ではなく、震源のlocal time(*1)でみた最頻発生時刻に取り替えて、描き直してみます。

注 *1) local time = 日本標準時 + (震源の東経 ー 135度)/15度

Fig5l
図5 震源の経度と最頻発生時刻(local time)

ごらんのように、グラフはほぼ横一直線になり、経度依存性が消えました。 このことは、地震活動が日本標準時よりもむしろ local time に関係していることを意味します。 その場所でのそのときの太陽の方向に関係している、とも言えます。

いったい、なぜ地震は真夜中に多いのでしょうか。

WSには全くわかりません。 紹介したFreund博士の動画には、博士のアイデアに基づく仮説が述べられていますので、興味のある方はごらんください。

以下では、地震活動が太陽の影響を受ける(ように見える)原因を探るために、役立つかも知れないいくつかの追加の情報を、今回の解析対象データから引き出してみます。

 

震源の深さは時間帯別地震回数と関係があるだろうか

Fig6
図6 震源の深さと最頻発生時刻

このグラフは、震源の深さと最頻発生時刻(local time)との関係を調べたものです。 両者に明瞭な関係はみられません。

もし、太陽の影響がまず地表に現れ、それが地下へと(遅い速度で)伝わっていくならば、深い地震ほど最頻発生時刻が遅くなってもよさそうなものです。しかし、そのような傾向は見られず、むしろ、どちらかというと、深い地震ほど最頻発生時刻が早い可能性すらあります。

地表から地下100kmまでの作用伝達時間が数十分以上であるような過程は、太陽の地震活動への影響には無関係であろうと考えられます。

 

震源の緯度は時間帯別地震回数と関係があるだろうか

Fig7
図7 震源の緯度と最頻発生時刻

このグラフは、震源の緯度(北緯)と最頻発生時刻(local time)との関係を調べたものです。 両者に明瞭な関係はみられません。(北緯46度以北の区間は例外的に、観測された地震数が数百個と少ないので、信頼性が低いです。)

 

太陽潮汐(太陽の万有引力による潮汐)は時間帯別地震回数に影響しているだろうか

潮汐と言えば、月の引力による潮汐がまず思い浮かびますが、太陽の引力による潮汐力も、月の半分くらいの大きさをもっています。 もし、潮汐が地震活動に影響するするならば、local timeでみた時間帯別発生回数に、太陽潮汐の影響が表れるはずです(月の潮汐力の影響は、24時間周期で4年間もサンプリングすれば平均化されて打ち消される)。

太陽の潮汐力は半日(12時間)周期で変化します。 なので、地震活動に12時間周期の成分があるかどうかを見てみましょう。

Fig9
図8 時間帯別の地震回数(local time)

このグラフの水色で示した数値(地震回数)を順に y(0), y(1), y(2), ... , y(23) とし、この数列のフーリエ成分の大きさと位相(偏角)(*2)を調べたのが次の図です。

Fig10
図9 時間帯別地震回数のフーリエ成分

ごらんのように振動数 2 day-1(12時間周期)の成分は小さくなっています。 むしろ、振動数 3 day-1(8時間周期)や振動数 4 day-1(6時間周期)の成分のほうが大きくなっています。 太陽潮汐の影響はあまり見られないようです。

日本周辺でも、アルプスでも、正午付近に小さな地震活動のピークが見られますが、このピークは太陽潮汐の影響ではない可能性が高いとWSは考えます。

注 *2) 各 t について y(t) をフーリエ成分 a_0, a_1, ... , a_23 で表す式は

Math3
式1

です。逆変換は k = 0, 1, 2, ... , 12 に対して

Math2
式2

となっています。 (注終)

 

マグニチュードが大きい地震(M3.0以上)も真夜中に多いのだろうか

上ではM0.0以上の地震について調べましたが、もう少しマグニチュードが大きい地震(M3.0以上)ではどうなっているでしょうか。

Fig3
図10 日本周辺での時間帯別地震回数(M3.0以上)

地震は夜間に多く昼間に少ないようにも見えます。 しかし、午前10時と午後6時あたりにもピークがあって、M0.0以上のデータほど昼夜の偏りが明瞭ではありません。

M3.0以上の地震は各時間帯の平均発生数が約980回なので、偶然に起こり得るゆらぎの大きさはおよそシグマ σ ≒ √980 ≒ 31 回 です。

±2σ程度の回数のゆらぎはごく当たり前ですから、このM3.0以上の地震たちについてはデータが少なすぎて、地震回数の昼夜の偏りについて確定的な結論を述べることはできません。

今回の分析はこれでおしまいです。では、また。

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*) 謝辞
この記事および同じカテゴリの最近の記事で取り上げた暫定的な分析には、Hi-netのHPからダウンロードした気象庁一元化処理 震源要素を使用しました。 気象庁一元化処理 震源要素は独立行政法人防災科学技術研究所、気象庁、及び、国立大学の地震観測データを使用して、気象庁が文部科学省と協力して整理したものです。 ここに記して感謝いたします。


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13.地表大気電場に生じるスパイクと地震活動の関係(続き)

前回の記事の記事では、2010年1年間の地表大気電場データ(柿岡)と日本付近の地震活動に関係があるかどうかを調べました。 そして、柿岡に影響がある地震の前後に、大気電場の急激な変動(スパイク)の頻度が以下のグラフで示されるような変化を示すのではないか、という仮説を提示しました。

Beq_aeq_image
図0(前回の記事の図5、再掲)

ある程度の規模以上の地震の場合には、地震発生の10日前ごろに、大気電場に上方スパイクが増えるとともに、下方スパイクが減少する。それが通常の頻度に戻るころに地震が発生する、というわけです。また、地震発生後には上方スパイクと下方スパイクの両方が通常の頻度よりやや増える、という仮説も述べました。

ただし、明確な結論として述べるにはデータ数が足りませんでした。 今回はデータ期間を4年間(2007年〜2010年)に拡大して、この仮説が成り立っているかどうかを調べます。(結論をいうとほとんど成り立っていませんでした。もともと危険率が高かった主張もあり、また、余震活動のような地震活動の時間相関のために危険率を過小評価していたことも原因だと思います。)今回、新たに得られた関係は、ちょっと興味深くてF T Freund博士の説と整合的であるように思えます。

なお、ここで使用しているいくつかの用語
・発生した地震の柿岡へのインパクト
・地表大気電場の規格化電場
・地表大気電場の上方スパイクとその強度
・地表大気電場の下方スパイクとその強度
の定義については、前回の記事をごらんください。

 

4年間(2007年〜2010年)のデータの概観

次の図は、4年間に発生した地震と大気電場のスパイクを概観したものです。

Na_spikes_impacts
図1

たて軸には発生の年月日を、横軸には1日における発生の時刻(日本時間)をとってあります。

赤色の雪印(*)は発生した地震を示します。地震のインパクトの大きさを、印の大きさで区別しています。

青色の印は大気電場に生じた上方スパイクを、緑色の印は下方スパイクを示します。スパイク強度を印の大きさで区別しています。

茶色の点々は大気電場の欠測値を示します。4年間を通じて午前10時ごろに欠測値が多いのは、日常的に装置の点検やリセットが行われているからではないか、と想像します。

ぱっと見た印象では、欠測値の連続を示す横線のあとで、地震が発生することが多いように見えます。これは興味深いことですが、欠測の原因がWSにはわからないので今回は解析の対象外です。

大気電場の上方スパイクも下方スパイクも、一日の特定の時間に多く発生するとか、逆に少ないといった明確な特徴はみられないようです。あえて述べるなら、未明(午前3時〜6時)には下方スパイクの発生がやや少ないように見えます。


次の図は、横軸に発生日時を、たて軸にスパイク強度または地震のインパクトをとって、4年間に発生したスパイクや地震を示したものです。

Spikes_and_impacts_0
図2

これだけでは地震とスパイクの関係が見にくいので30日間の和をとってみます。
次の図は、過去30日間のスパイク強度の和または地震インパクトの和の推移を示したものです。

Spikes_and_impacts_30
図3

前回の記事で仮説として提示したように、地震前に上方スパイクが増えている、あるいは、下方スパイクが減っている、といった読み取りが可能でしょうか。

ちゃんと統計をとって調べてみます。

 

地震発生の前に大気電場に生じるスパイクの頻度に変化はあるか

次の図は、地震発生の前後の一定期間内に大気電場に生じたスパイクの強度和平均値を、発生した地震のインパクトとスパイクの種類別に示したものです。

Ba_impacts_spikes
図4

たて軸にとってあるのは、スパイク強度和平均値の通常時の平均値からのずれです。誤差棒は、それぞれのスパイク強度和平均値に偶然に生じ得るゆらぎの大きさ(±1σ)を示します。

図4で見てもよいのですが、スパイク強度和平均値の通常時からのずれが、ゆらぎと比較してどの程度意味があるずれなのか、がわかりやすいように、ずれをゆらぎ(σ)で割って規格化して示したのが次の図です。

Ba_impacts_spikes_nsig
図5

図4と図5から以下のような特徴が読み取れます。(●は危険率5%以内、・は同5〜10%の主張です。)
地震のインパクトの大きさで分類して示します。

<影響が大きい地震(インパクト1.0以上)の発生前後>
[上方スパイクについて]
●地震発生の10日後〜30日後の期間に、上方スパイク強度和が0.8増加(*)
[下方スパイクについて]
・地震発生の90日前〜30日前の期間に、下方スパイク強度和が0.3増加
・地震発生の10日後〜30日後の期間に、下方スパイク強度和が0.6増加

<影響がやや大きい地震(インパクト0.4〜1.0)の発生前後>
[上方スパイクについて]
・地震発生の10日後〜30日後の期間に、上方スパイク強度和が0.4減少
[下方スパイクについて]
 明確な特徴なし

<影響が中程度の地震(インパクト0.25〜0.4)の発生前後>
[上方スパイクについて]
 明確な特徴なし
[下方スパイクについて]
 明確な特徴なし

<影響が小さい地震(インパクト0.1〜0.25)の発生前後>
[上方スパイクについて]
・地震発生の30日前〜10日前の期間に、上方スパイク強度和が0.2減少
●地震発生の3日後〜10日後の期間に、上方スパイク強度和が0.3減少
・地震発生の10日後〜30日後の期間に、上方スパイク強度和が0.1減少
[下方スパイクについて]
●地震発生の3日前〜0日前の期間に、下方スパイク強度和が0.5増加
●地震発生の10日後〜30日後の期間に、下方スパイク強度和が0.2増加
●地震発生の30日後〜90日後の期間に、下方スパイク強度和が0.2増加

注*) 本来は「上方スパイク強度和期待値(30日間換算)が平常時より0.8以上増加」と書くべきですが、わずらわしいので省略した表現にしています。

こうした特徴のうち、地震発生の短期予測に使えるのは地震発生前のスパイクの状況です。

インパクトが0.25〜1.0の、影響が中程度の地震については残念ながら、大気電場のスパイクに地震前に明確な特徴は見てとれません。

インパクトが1.0以上の影響が大きい地震と、インパクトが0.1〜0.25の影響が小さい地震については、若干の特徴が見てとれます。すなわち、

影響が大きい地震の発生90〜30日前の期間に下方スパイクの強度和が増加します。また、
影響が小さい地震の発生30日前〜10日前の期間に上方スパイクの強度和が減少し、かつ、同3日前〜0日前の期間に下方スパイクの強度和が増加します。

これらの特徴は、前回の記事で示した「地震前後のスパイク強度和の推移(イメージ)」を、地震のインパクトと期間について精密化したものになっています。(データ数が4倍に増えて、地震前の下方スパイクの推移についてはかなり異なった結論となりました。)

また、地震発生の短期予測には使えませんが、地震発生後のスパイク強度に統計的に有意な変化がみられます。すなわち、

影響が大きい地震の発生後には上方スパイクの強度和と下方スパイクの強度和がともに増加します。それとは対照的に
影響が小さい地震の発生後には上方スパイク強度和は減少しますが下方スパイク強度和は増加します(*)。

注*) 大気電場の上方スパイクとは、(ふだんは鉛直下向きの大気電場が)急に強まることです。また、下方スパイクとは、鉛直下向きの大気電場が急に弱まること、あるいは、急に逆転して鉛直上向きになったり、上向きに強まることです。

以上をまとめて、地震発生前後の大気電場スパイクの推移のイメージを図にすると次のようになります。

Beq_aeq_image_new
図6

これらの特徴が何を意味しているのかは、(可能ならば)今後の記事で考察してみたいと思います。現地点で考えていることをちょっと書きます。

下方スパイクは、地表大気電場が急に小さくなる(あるいは鉛直上向きになる)現象です。そのような現象は、(i)地表に正電荷が現れるか、または、(ii)地表付近の空気(接地気層)の電気伝導度が急に大きくなるときに生じると考えられます。

現地点でのWSの想像では、(i)は、地下の(未来の)震源領域で生じた正に帯電したホール(=電子がない状態)が移動して地表に現れるために、(ii)は、そうしたホールが地表付近の空気中の中性酸素分子から電子をはぎとり、正の酸素分子イオン(O2+)が地表付近で豊富になるために、起きる現象なのかも知れません。

強い地震の前に下方スパイクが増加し、地震後に上方スパイクが増加する、という今回の結果は、先日の記事で紹介したF T Freund博士の室内岩石圧縮実験の結果(圧縮時に岩石表面付近の空気が正に帯電し、加重を取り去ると負に帯電する)とも整合的だと思います。

さて、上では地震発生前後の大気電場スパイクの状況を調べたのですが、次に、大気電場スパイク発生前後の地震活動の状況を検討します。

 

大気電場にスパイクが生じた後で地震活動に変化はあるか

次の図は、大気電場にスパイクが生じたあとの地震活動の活発さ(期間内のインパクトの総和の通常時からのずれ)の推移を、スパイクの種類別に示したものです。

Ba_spikes_impacts
図7

図7において、地震活動の活発さを、偶然に生じ得るゆらぎの大きさ(1σ)で割って、規格化して示したのが次の図8です。

Ba_spikes_impacts_nsig
図8

図7と図8から次のことが読み取れます。(●は危険率5%以内、・は同5〜10%の主張です。)
スパイクの種類と強度で分類して示します。

[強い上方スパイク(規格化電場3.3以上)について]
 明確な特徴なし
[やや強い上方スパイク(規格化電場3.0〜3.3)について]
 明確な特徴なし
[中程度の上方スパイク(規格化電場2.7〜3.0)について]
 明確な特徴なし

[弱い上方スパイク(規格化電場2.4〜2.7)について]
●上方スパイク発生の10日前〜3日前の期間に、地震インパクト和が10%減少
●上方スパイク発生の0日後〜3日後の期間に、地震インパクト和が20%減少

[強い下方スパイク(規格化電場-3.3以下)について]
 明確な特徴なし

[やや強い下方スパイク(規格化電場-3.3〜-3.0)について]
●下方スパイク発生の90日前〜30日前の期間に、地震インパクト和が10%増加
●下方スパイク発生の30日前〜10日前の期間に、地震インパクト和が20%増加
・下方スパイク発生の10日前〜3日前の期間に、地震インパクト和が30%増加

[中程度の下方スパイク(規格化電場-3.0〜-2.7)について]
・下方スパイク発生の30日前〜10日前の期間に、地震インパクト和が10%増加
・下方スパイク発生の10日後〜30日後の期間に、地震インパクト和が5%減少

[弱い下方スパイク(規格化電場-2.7〜-2.4)について]
●下方スパイク発生の10日前〜3日前の期間に、地震インパクト和が15%増加


おおむね、下方スパイクの前には地震活動が活発であること。また、下方スパイクの10日後〜30日後は地震活動が低調であることがわかります。 また、弱い上方スパイクの前後には地震活動が低調であることもわかります。

これらの結果は、図6のイメージと矛盾はしませんが、現地点ではすっきりと整理された形でWSの頭の中に収まりません。きれいな相関関係を得るには、余震活動の影響を取り除くことが必要なのかも知れません。今後の検討課題です。では。

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12.地表大気電場に生じるスパイクと地震活動との関係

前回の記事では、柿岡における2010年1年間の観測データを用いて、地表大気電場の変動と周辺の地震活動との関係を調べました。

その結果、大気電場の急激な変動(スパイク)のあとで、スパイクの種類に応じて、周辺の地震活動が活発化あるいは静穏化することがわかりました。

前回は、地震活動を大気電場のスパイクから予測したいという動機があったので、スパイク後の地震活動を調べたり、地震前のスパイク発生状況を調べたのです。しかし、論理的可能性としては、地震のあとでスパイク発生状況が変化したり、スパイクの前に地震活動が特定の状況になる、というケースも考えられます。

そこで今回は、前回と同じ2010年1年間の観測データを用いて、後者のケース、つまり、地震後のスパイク発生状況や、スパイク前の地震活動の状態について調べたいと思います。


地震後のスパイク発生状況

Aeq_up_stat
図1

上の図1は、地震後の一定期間(30日間、10日間、3日間)に発生した地表大気電場上方スパイクの強度和を、地震の柿岡へのインパクト別に示したものです。

・地震後30日間は、上方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。
・地震後10日間は、上方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。
・地震後3日間は、上方スパイクが減る(あるいは弱くなる)ように見えます。

Aeq_down_stat
図2

上の図2は、図1と同様な図ですが、こんどは下方スパイクについてのものです。

・地震後3日間は、下方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。

これらの図から読み取れるこうした「傾向」が偶然に生じる確率(危険率)を、前回の記事と同様の手法でモンテカルロ法で調べた結果が次の表(図3)です。

Aeq_stat_check
図3

上方スパイクについて述べた「傾向」は確からしい(危険率が低い)ですが、下方スパイクについて述べた「傾向」はかなり怪しい(危険率が高い)ことがわかります。

前回の記事で調べた結果と合わせて、地震前後のスパイク発生状況を表にまとめてみます(次の図4)。

Beq_and_aeq_spike
図4

インパクト0.4以上の地震発生の前10日間には、上方スパイク強度和が増し、かつ、下方スパイク強度和が減少します。
しかし、同3日間(直前の3日間)には、そのような傾向は見られません。
地震後の3日間には逆に、下方スパイク強度和が増します。

地震前後のスパイク強度和の推移を図にすると次のようなイメージになります。

Beq_aeq_image
図5

上方スパイクが増え、かつ、下方スパイクが減ることは近々地震が起きることを示唆し、地震発生の時期には上方スパイクの減少と下方スパイクの増加が同時に見られる、というイメージです。

なお、地震後10日間の上方スパイク強度和が増えているのは、余震活動が原因の可能性があります。

つぎに、個々のスパイク前の地震活動がどうなっているかを調べます。
 

スパイク前の地震活動の状態

Before_spike_impact
図6

上の図6は、地表大気電場にみられるスパイク前の一定期間(30日間、10日間、3日間)の地震活動の強さの平均値を、スパイクの種類(強さ)別に示したものです。

なお、「一定期間の地震活動の強さ」とは、発生した地震の柿岡へのインパクトの和(の常用対数)を30日間あたりに換算した値のことです。

●強い上方スパイクの前30日間は、地震活動が活発であるように見えます。
●強い上方スパイクの前10日間は、地震活動が活発であるように見えます。
? 強い上方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 上方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。

・下方スパイクの前10日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 強い下方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 下方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。

見いだされたこれらの「傾向」の危険率をモンテカルロ法で調べたものが次の表(図7)です。

Before_spike_stat_check
図7

上の「傾向」のうち、先頭に記号 ? をつけたものは、真実かどうか怪しいことがわかります。

前回の記事で調べた結果とあわせて、スパイク前後の地震活動の状態を表にまとめてみます(次の図8)。

Before_after_spike_impact
図8

強い上方スパイクのあとで(ただし3日間とかではなく、30日間くらいの期間で)地震活動が活発になること。強い下方スパイクのあと10日間および30日間は地震活動が低調になることがわかります。これらは、図5のイメージと矛盾しません。

強い上方スパイクの前10日間および30日間に地震活動が活発なのは、余震活動と関係がある可能性があります。(余震前の上方スパイクであるということ。)

今回は以上です。

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11.地表大気電場に生じるスパイクとその後の地震活動

こちらの記事の末尾で、柿岡地磁気観測所における地表大気電場の観測値に急激な変動(スパイク)があらわれた2時間後に、千島列島でM6.1の地震が発生した事例を紹介しました。

これが偶然の事象なのか。それとも、大気電場のスパイクと地震活動にはなんらかの関係があるのか。

今回の記事ではそれを、柿岡での1年間のデータ(2010年1月〜12月)を用いて、統計的に調べてみたいと思います。

結論を先に書きますと、

●地表大気電場に上方スパイクが現れてからしばらくの間(10日間あるいは30日間)は地震活動が活発になるらしい
●同じく下方スパイクのあと30日間は地震活動が低調になるらしい
・大きな地震の直前10日間には、地表大気電場に現れる上方スパイクの数(あるいは強度)が増えるらしい
・大きな地震の直前10日間には、同じく下方スパイクの数(あるいは強度)が減少するらしい

といった事実が明らかになりました。

どうやってそういう結論を得たのかを順に詳しく説明します。


 

地表大気電場にみられる「スパイク」と「規格化電場」を定義してみる

まず、地表大気電場の観測値にみられる「スパイク」を厳密に定義しておきます。具体例をお見せしながら説明します。

次の図1は、2010年3月29日の0時から11時(UTC)までの地表大気電場観測値の推移(赤色の曲線)を示しています。上から下へ3つのグラフが並んでいますが、一番上のグラフを、たて軸方向にだけ拡大したものが一番下のグラフです。(真ん中のグラフについてはあとで説明します。)

Fig0329_2
図1

この日は太平洋沖に低気圧、日本海に高気圧がある曇りの日で、ときおり晴れ間がのぞき、また、茨城県内ではときどき雨が降る地点もある天気でした(参考:茨城県の過去天気 2010/3/29)。

UTC3時から5時にかけてと、同8時ごろに地表大気電場が大きく変動しています。通常は50〜100V/mである大気電場の絶対値が、1000〜2000V/mになっています。この変動はおそらく上空を雨雲が通過したときに生じたものです。

さて、図では地表大気電場の1時間中央移動平均を青色の線で示しました。たとえば、4時0分における移動平均の値は、3時30分から4時30分までの連続する21個の観測値の平均値です。(21個なのは、観測値が3分おきの離散データだから)

この移動平均線(青色の線)の上下にそれぞれ3本描いてある緑色の線(ボリンジャーバンド)は、移動平均線から順に±σ、±2σ、±3σだけ隔たった大気電場の値を示します(ここでσ(シグマ)は上記21個の観測値の標準偏差)。

そして、各時刻の「規格化電場」を以下の式で定義します。

規格化電場 =(観測値 ー 中央移動平均)/σ

規格化電場は、大気電場の観測値が移動平均値からσ(シグマ)の何倍だけ隔たっているか、を示します(図1の真ん中のグラフの赤い線)。

つまり、前後計1時間の平均的な大気電場のゆらぎにくらべて、大気電場が短い時間の間に急激に平均値から大きく隔たった場合に、規格化電場(の絶対値)が大きくなります。

そこで、規格化電場が+3(あるいは+2.7)を超える場合を「上方スパイク」、−3(あるいは-2.7)を下回る場合を「下方スパイク」と呼ぶことにします。

図1の真ん中のグラフには、2つの下方スパイクと1つの上方スパイクが出現しています。下方スパイクの1つ(UTC 4:30ごろ)と上方スパイク(同8:00ごろ)は、大気電場の値自体が急激に-2000V/mあるいは+1500V/mとたいへん大きな値に振れたことによるスパイクです。

一方、もう1つの下方スパイク(同6:00すぎ)では、大気電場の値自体はそれほど大きく変化してはいません。にも関わらず、下方スパイクと判定されているのは、前後計1時間の間、大気電場のゆらぎがとても小さかったからです。このように、大気電場そのものはあまり大きく変化しなくても、前後計1時間の間の大気電場の平均的なゆらぎにくらべてその変化が大きければ「スパイクが出現した」と考えることにします。

Na_and_spikes_and_impacts_2
図2

図2は、2010年の1年間に柿岡で観測された地表大気電場の「スパイク」を示します。青丸は上方スパイクを、緑丸は下方スパイクを示し、丸の大きさがスパイクの強さ(規格化電場の絶対値の大きさ)を示します。(赤丸については後で説明します。)

たて軸には月/日を、横軸には1日の時間をとっています。

茶色の点々は、欠測等のため規格化電場が計算できなかった日時を示しています。(日本時間10時ごろに欠測が多いのはもしかして、定期的に測定装置のリセットや零点調整などが行われるのでしょうか?)

ごらんのようにスパイクの発生季節や発生時刻に目立った偏りは見られません。しいて言うならば、早朝に発生する下方スパイクがやや少ないように思われます。


 

地震の柿岡への「インパクト」を定義してみる

上でみた「スパイク」と地震活動の関係を調べるために、日本付近で生じた各地震の柿岡への「インパクト」と呼ぶ量を定義します。

地震の柿岡への「インパクト」は、地震の規模(マグニチュードM)が大きいほど大きく、また、震源から柿岡観測点までの距離Rが近いほど大きくなるように定義します。

Fig_distance_2
図3

地震の規模Mとインパクトの関係は、

インパクト = 定数 × 10^(0.75*M)

と決めることにします(「定数」は距離Rに依存しますが、Mにはよりません)。これは、インパクトが地震のエネルギー(〜10^(1.5*M))の平方根に比例する、とおくことに相当しています。多くの物理的状況で、電場の2乗がエネルギーに関係することが知られていますから、それほど不自然な定義ではないと思います。

また、距離R(km)とインパクトの関係は

インパクト = 定数' / (R + 20)

とおくことにします(「定数'」はMに依存しますが、Rにはよりません)。これは(分母の+20を無視すれば)、インパクトが距離Rに反比例する、とおくことに相当しています。未来の震源付近で生成された電荷分布が、(地殻はほぼ導体であると見なせるので)地表面にそって2次元的(平面的)に拡がることを想定しています。なお、分母の+20は、柿岡観測点ごく近くの地表付近で生じた地震のインパクトが極端に大きくならないように付け加えています。

以上をまとめて、距離R(km)の地点で発生したマグニチュードMの地震の柿岡へのインパクトを

インパクト = 10^(0.75*(M - 6.0)) × 220 / (R + 20)

と定義することにします。距離200kmの地点で発生したマグニチュード6の地震のインパクトがちょうど1です。


 

大気電場の「スパイク」と地震の「インパクト」の季節別および時刻別の推移(2010年)

次の図2(再掲)は、2010年の1年間に日本付近で発生した地震の柿岡へのインパクトを、大気電場のスパイクとともに図示したものです。 発生した地震の柿岡へのインパクトは赤い米印の大きさで示しました。

地震のデータは、Hi-netで取得した「気象庁一元化処理 震源要素」を利用しました。

Na_and_spikes_and_impacts_2
図4 (図2の再掲)

大気電場のスパイクと地震のインパクトの時系列どうしの関係をこの図から客観的に読み取ることはちょっと難しく思えます。別の形に整理して表示したものを次の図5に示します。

その前に1つ気になることとして、3月上旬や7月初め、あるいは11月下旬のように欠測値(茶色の点々)が連続した直後に地震が発生していることを指摘しておきたいと思います。欠測の原因が不明なのでこの点の解析は今回は行いませんが、もし、地震発生前の異常な大気電場測定値の連続がこれらの欠測(観測装置の調整?)の原因であったならば、大変に興味深いことです。

では、別の形に整理した図(図5)を次に示します。

Spikes_and_impacts_0_2
図5

図5の横軸は日時です。たて軸は、上側のグラフについては大気電場スパイクの強度、下側のグラフについては地震のインパクトです。スパイクの強度は、規格化電場の絶対値が2.7を超える場合に、2.7との差をスパイクの強度とみなして表示しています。

3月上旬と12月下旬、6月中旬に地震活動が活発になっており、(そう思って眺めれば)その1ヶ月ほど前にスパイクが増えているようにも見えます。

見やすいように、スパイクの強度と地震のインパクトのそれぞれについて、30日間の後方移動和をとったものが次の図6です。

Spikes_and_impacts_30_2
図6

(先入観をもって眺めれば)スパイクが多くなった1〜2ヶ月後に地震活動のインパクトの和が増しているようにも見えます。

次の図7も同様な図ですが、10日間の後方移動和をとったものです。

Spikes_and_impacts_10_2
図7

では、これらの図の概観から得られた仮説「スパイクが増えた少しあとで地震活動が活発になる」および「地震活動が活発になる少し前にスパイクが増える」の2つについて、これから統計的に検証してみましょう。


 

大気電場の「スパイク」のあとで地震活動は活発になるか

次の図8は、大気電場にスパイクが見られた後の一定期間の間に、発生した地震のインパクトの総和(の常用対数)の平均値を、スパイクの種類別に図示したものです。

After_spike_impact_2
図8

スパイク後30日間の統計(青色の棒グラフ)をみると、強い上方スパイクのあとでは地震活動が活発になる(=地震のインパクトの和が増える)こと、また、強い下方スパイクのあとでは地震活動が弱まる(=地震のインパクトの和が減る)ことが読み取れます。

スパイク後10日間の統計(緑色の棒グラフ)をみても、同等な傾向が読み取れます。

一方、スパイク後3日間の統計はゆらぎが大きく、明瞭な傾向は読み取れません。

さて、スパイク後30日間および10日間の統計から読み取った「傾向」はどの程度信頼できるものでしょうか。

実は、次の図9に示すように強いスパイクは発生数が少ないので、上の「傾向」が統計的ゆらぎにより偶然に生じたものである可能性について検討が必要です。

After_spike_number_2
図9

そこで、スパイク強度のみをランダムにシャッフルしたスパイク時系列を数万通り生成して、モンテカルロ法で上の「傾向」が偶然に生じてしまう確率を評価した結果が次の表(図10)です。

After_spike_impact_stat_prob_2
図10

仮に、偶然に「傾向」が生じてしまう確率が10%未満であることを統計的有意性の基準とするならば、以下のことが結論できます。

・上方スパイク(規格化電場+3.0以上)発生後30日間の地震インパクトの和(期待値)は、通常の10^0.06=1.15倍に増える

・上方スパイク(規格化電場+2.4以上)発生後10日間の地震インパクトの和(期待値)は、通常の10^0.035=1.08倍に増える

・下方スパイク(規格化電場-3.0以下)発生後30日間の地震インパクトの和(期待値)は、通常の10^(-0.04)=0.91倍に減る

他に、図8から読み取れる「傾向」があるかも知れませんが、それらは統計的に有意ではありません。

なお、いま見たように強い下方スパイクはスパイク発生後30日間の地震活動の低下に結びついていますが、図6などから受ける印象として、スパイク発生後60〜90日間でみると逆に地震活動の活発化に結びついているのではないか、とWSは想像しています。この点については近々、もっと長期間(4年間程度)のデータで検証してみたいと考えています。


 

大きな地震の前に、大気電場の「スパイク」は増えるか

次に、柿岡へのインパクトが大きな地震の前に、柿岡における地表大気電場のスパイクが増えるかどうか、について調べてみます。 「上方スパイク」と「下方スパイク」のそれぞれについて、順に調べます。

Beq_up_stat_2
図11

上の図11は、地震発生前の一定期間に大気電場に生じた上方スパイクの強度(=規格化電場 ー 2.7)の和の平均値を、地震のインパクトで分類して示したものです。

地震前の3日間、10日間、30日間のいずれの期間でみても、地震の前に上方スパイクの強度和が増加しています。また、その増加の割合は、地震のインパクトが大きいほど大きい傾向が見られます。

Beq_down_stat_2
図12

上の図12は、図11と同様な図ですが、今度は地震前の下方スパイクの強度(=規格化電場の絶対値 ー 2.7)の和の平均値を、地震のインパクトで分類して示したものです。

地震前の10日間と30日間のいずれでも、地震の前に下方スパイクの強度和が減少するように見えます。また、その減少の割合は、地震のインパクトが大きいほど大きい傾向が見られます。(地震前の3日間の統計はゆらぎが大きく、確たる傾向が見いだせません。)

さて、図11や図12から推測されるこうした「傾向」ですが、統計的に有意なのかどうかについて検証が必要です。 次の図13からもわかるように、インパクトの大きい地震は発生数が少ないので、統計のゆらぎによって偶然にこうした「傾向」が現れた可能性があるからです。

Eq_impact_stat_2
図13

そこで、地震のインパクトのみをランダムにシャッフルした地震時系列を数万通り生成して、モンテカルロ法で上の「傾向」が偶然に生じてしまう確率を評価した結果が次の表(図14)です。

Beq_spike_stat_prob_2
図14

仮に、偶然に「傾向」が生じてしまう確率が10%未満であることを統計的有意性の基準とするならば、上でみた「傾向」はすべて偶然の産物ということになります。

もし、統計的有意性の基準を確率20%未満までゆるめるならば、次の2つのことが結論されます。

・インパクト1.0以上の地震が発生する直前10日間における、上方スパイク強度の和(30日間換算、期待値)は3.8以上である(通常は約2.3)

・インパクト0.4以上の地震が発生する直前10日間における、下方スパイク強度の和(30日間換算、期待値)は0.8以下である(通常は約1.6)

他に、図13や図14から読み取れる「傾向」があるかも知れませんが、それらは統計的に有意ではありません。


 

次回記事の予定

今回の分析で

●地表大気電場に上方スパイクが現れてからしばらくの間(10日間あるいは30日間)は地震活動が活発になるらしい
●同じく下方スパイクのあと30日間は地震活動が低調になるらしい
・大きな地震の直前10日間には、地表大気電場に現れる上方スパイクの数(あるいは強度)が増えるらしい
・大きな地震の直前10日間には、同じく下方スパイクの数(あるいは強度)が減少するらしい

といった事実が明らかになりました。

しかしこれらは、統計的な有意性の基準を、そのような「傾向」が偶然に生じた確率が10%未満●あるいは20%未満・というように、ちょっと甘くとった上での結論です。

今回調べたのは2010年の1年間のデータでしたが、次回はもう少し長い期間(4年分くらい)のデータを解析して、より統計的に厳密な結論を得たいと思っています。

また、解析期間を長くとることで、今回はじゅうぶんな分析ができなかった仮説、たとえば「強い下方スパイクが現れてから30日後から60日後までの期間には、地震活動が活発になるらしい」など、を検証することもできる可能性があります。

さらに、今回の記事では、地震発生を地表電場のスパイクから予測したい、という動機があったので、「スパイク→地震」という時間順に従った仮説だけを検証しました。しかし、現象が「地震→スパイク」という時間順で起きている可能性もあります。 次回の記事ではこうした点も調べてみたいと思います。 では。

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10.地表大気電場(平穏時)の平均的な日変化と季節変動

WSはいま、地震前兆として地表大気電場に「下方スパイク」(持続時間数分〜10分程度)が現れる可能性に関心をもっています。それで、柿岡地磁気観測所で公開されている大気電場データを統計的に調べています。

なにが「下方スパイク」であるのか、を明確に定義しようとしたときに、あらかじめ、通常の大気電場の日変化がどんなものであるか、を知りたいと思いました。

英国における次の研究
A J Bennett and R G Harrison (2007) Atmospheric electricity in different weather conditions
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/wea.97/pdf

のpdfの中にあった興味深い図(Figure3)に触発されて、1年間(2010年1月〜12月)の柿岡における地表大気電場(平穏時(*1)の平均値)の日変化を、季節による違いもわかるように図示してみました(図1)。

(脱線ですが、上記pdfのFigure1に渋いフィールドミルの写真があります。これを見てむしょうに、こんな測定器を自分で作ってみたくなりました。WSには自作の経験も回路技術もないのですが、勉強して時間をかけて経験を積めばいつかできるかも… いくらくらいかかるんだろう?)

Monthly_hourly2010
図1

横軸には1日の時刻をとっています。横軸の目盛は上段が世界時(UTC)、下段が日本時間です。

たて軸には季節をとっています。一番上が1月上旬で、一番下が12月下旬です。

各季節、各時刻の平均的な地表大気電場(平穏時)の大きさは色の濃淡(色調)で示しました。

BennettとHarrisonによる英国の大気電場の季節変化や日変化の説明(上記pdf)も参考にしながら、図1からなにが読み取れるかを考えます。

   *

まず、図の左半分と右半分を比べると、おおむね左半分では電場は小さく、右半分では大きいことが読み取れます。つまり、日本時間の正午から午後にかけて電場は小さく、深夜から明け方にかけて電場は大きくなります。

これには、対流によるエアロゾルの拡散と、それに連動した大気の電導度変化が1番効いていると思われます。

地面が太陽光で暖められて対流が盛んになる正午から午後にかけては、地表付近の汚染物質(エアロゾル)が対流で上空へと拡散するために、大気イオンのエアロゾルへの吸着が減って、地表近くの大気の電気電導度σが大きくなり、したがって地表大気電場Eは小さくなります。(局所的なオームの法則j=σEと、空地電流jがほぼ一定とみなせることによります。)

逆に、地面が冷えて対流が弱まる深夜から明け方にかけては、地表付近のエアロゾルが上空へと拡散しないので、大気イオンがエアロゾルに吸着し、地表近くの大気の電気電導度σが小さくなり、したがって地表大気電場Eは大きくなります。

   *

次に、図1を上から、上部、中部、下部の3つにわけて比べてみますと、上部と下部では大気電場の大きい部分が目立ち、中部では大気電場の小さい部分が目立つことがわかります。つまり、冬期には大気電場が大きく、夏期には小さくなっています。

これも、対流によるエアロゾルの拡散と大気の電気電導度変化で説明できます。

冬期には日射が弱いので対流も弱くなります。正午から午後にかけてのごく短い時間だけエアロゾルが対流で上空へ拡散するので、地表大気電場がその時間帯だけ小さくなりますが、一日の大半の時間は大気電場が大きい状態です。

一方、夏期には対流が強くなります。正午から夜遅くまで長い時間にわたって地表起源のエアロゾルは上空へと拡散し、地表近くの大気の電気電導度が増して、地表大気電場は小さくなります。

つぎに、季節ごとの地表大気電場の日変化を線グラフで見てみます。4月上旬、8月上旬、12月上旬の日変化を描きました。

Season_hour
図2

地表大気電場が最小となる時刻は、12月上旬は日本時間の13時ごろ、4月上旬は16時ごろ、8月上旬は深夜の1時頃となっています。これは、対流によるエアロゾルの上空への拡散の効果がそれぞれピークを迎える時刻なのだと思われます。ただし、8月上旬のデータは、夜間の陸風循環の影響もあるかも知れません。夜に、汚染物質(エアロゾル)をほとんど含まない海上空からの清浄な空気が陸上空へ移動し、それが上空から陸地へ降下してくるので、大気電場が小さくなっている可能性があります。

また、いずれの季節においても、朝の8時から9時にかけて地表大気電場が大きくなっています。これは交通要因と思われます。上記pdfで解説されている英国の事情と同じく、この時間帯は通勤時間帯です。車の排気ガス等による地表付近の高エアロゾル濃度が大きな大気電場をもたらしていると思われます。

夕方4時から5時にかけても大気電場のピーク(小規模ですが)がみられます。これも、通勤時間帯ということで説明が可能かも知れません。

また、UTC19:00前後(日本時間の朝4時前後)は全地球的な雷活動のピークで電離層電位が高いので、地表大気電場も大きくなりやすいはずです。図2をみると、主に冬期のデータにその影響が表れている可能性がありますが、夏期のデータから影響を読み取るのは難しいです。局所要因に覆い隠されてしまっているものと思われます。

   *

今回は以上です。次回は、地表大気電場の「下方スパイク」と地震活動との関係の話か、あるいは、地表付近の大気イオン濃度変動の電離層電子密度への波及について考えてみたいと思います。では。

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*1) 毎日の地表大気電場日変化のグラフ(pngファイル)から、約3分ごとの地表電場の最大値Emax、最小値Emin、平均値Eavをソフト的に読み取ります。このとき2つの条件
・最大値Emaxが正でかつ300V/m未満
・変動比率 (Emax-Emin)/Emax が0.5未満
がともに満たされていた場合に、この約3分間は「平穏時」であった、と呼ぶことにします。

なお、2010年の、3分ごとの大気電場の最大値Emaxの出現頻度分布は次のようになっています。

Max_stat
図3

また、3分間の変動比 (Emax-Emin)/Emax の出現頻度分布は次のようになっています。(変動比が0以上の範囲を図示。)

Ratio_stat
図4

変動比が1のところにやや異常なピークがあります(近傍の値から期待される頻度より5割ほど大きい)。これはおそらくWSが行った画像読み取り処理のノイズです。pngファイルのドットを電場の値に換算する際の四捨五入処理でEmin=0とされるデータ(Emaxが大きいケース)が影響していると思われます。

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9.地表大気電場のパワースペクトルと電場変動の原因(2)

柿岡地磁気観測所での地表大気電場の観測データを画像ファイルから読みとって、パワースペクトルを計算してみました。

人工的な影響をなるべくさけるため、とりあえず、年末年始で、電場変動が静穏なケースを2つ調べました。

20091231_5days
図1 2009年12月31日(UTC8:00)から2010年1月4日(15:00)までのデータ

20101231_9days
図2 2010年12月31日(0:00)から2010年1月8日(20:00)までのデータ

の2つです。

順に結果を説明します。

なお、1日ごとのpng画像から地表電場の値を読み取ったため、解析したデータの時間分解能は189.9秒(約3分)となります。(∵1日=86400秒=455ドット=グラフの横幅 より、1ドット=189.9秒)


<2009年末から2010年始のデータ>

まず、2009年末から2010年始の地表大気電場のパワースペクトルから示します。

Power_fit
図3

グラフのたて軸にはパワーの常用対数をとっています。

グラフの横軸は振動数です。右端は2.6mHz(ミリヘルツ)までプロットしました。これは、時間分解能から決まるカットオフ振動数5.27mHzの半分です。

第7回の記事でとりあげた2つの理論FとG(F:点電荷理論(=電荷分布説)とG:双極子理論(=電導度分布説))による理論曲線も合わせて示しました。

ごらんのようにF:点電荷説のほうが若干誤差が小さくなっていますが、その差は小さく、また、0.1mHz以下の低振動数領域でいずれの理論曲線も観測データのパワースペクトルから大きくずれています。

0.1mHz以下の低振動数領域でも観測データを説明できるような、もっと精密な理論曲線を考えだす必要がありそうです。第7回の記事では非常に荒っぽい仮定をいくつかおいて理論曲線を導出しましたが、仮定のいくつかを見直さなければならないのでしょう。

次に示すのは図3の低振動数の領域(左半分)を拡大した図です。

Pow_low_f
図4

両対数グラフで傾きが約-1.5の直線上に乗っているように見えますが、理由は今のところ(WSには)よくわかりません。

次に示すのは図3の高振動数の領域(右半分)を拡大した図です。

Power_fit_s
図5

0.3mHz以上の高振動数領域ではいずれの理論値もそれほど悪くないように見えますが、理論FとGのいずれが妥当かを判断できるだけの観測データがありません。2.6mHzよりさらに高振動数での観測データが必要です。そのためには、観測データの時間分解能を上げる必要があります(たとえば1分足とか20秒足など)。

なお、理論式に現れる振動数パラメータf0は0.5〜0.7mHz程度の値になっています。これは、上空の風の速さが約10m/sであると仮定するならば、地表大気電場変動をもたらす電荷分布や電導度分布の典型的な高度が14〜20kmであることを意味しているのですが...

この高度はちょっと高すぎる感じがします。観測データの時間分解能が約3分と粗いため、あるいは理論曲線を導く際の仮定が不適切なために、間違ったパラメータフィッティングになっているのかも知れません。


<2010年末から2011年始のデータ>

つぎに、2010年末から2011年始の地表大気電場のパワースペクトルを示します。

Power_fit2011
図6

低振動数領域でいずれの理論曲線も観測データのパワースペクトルから大きくずれています。

次に示すのは図6の低振動数の領域(左半分)を拡大した図です。

Pow_low_f2011
図7

両対数グラフでは、やはり直線上に乗っているように見えます。傾きは約-1.25です。(さきほどの2009年末からのデータでは傾きは約-1.5でした。)

直線にのる理由は今のところ(WSには)よくわかりません。

次に示すのは図6の高振動数の領域(右半分)を拡大した図です。

Power_fit_s2011
図8

0.3mHz以上の高振動数領域ではいずれの理論値もそれほど悪くないように見えますが、残念ながら理論FとGのいずれが妥当かを判断できるだけの(高振動数領域の)観測データがありません。

   *

時間分解能の高い地表大気電場の観測データを探すこと(あるいは自分で測定する?)、そして、理論曲線の導出プロセスを再考してみることが宿題になりました。では。

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8.天気と地表大気電場変動

地表大気電場の時系列のグラフがギザギザであるのはなぜなのか。2つの仮説を立てました。

<電荷分布説>と<電導度分布説>です。

前回の記事では、2つの仮説のいずれが正しいのかをパワースペクトルで判定できるかもしれない、というアイデアについて理論的に調べました。次にやりたいのは実際の観測データの解析です。

茨城県柿岡にある地磁気観測所のページで公開されている地表大気電場(空中電気)のグラフ(分足データ)を分析する予定です。

よく知られていることですが、地表大気電場は局所的な気象の影響を大きく受けます。そこで今回の記事では予備的調査として、2010年の毎日の大気電場変動(1日の電場最大値と最小値)と、その日の茨城県の天気との関係を調べます。

結論からいうと、おおむね、穏やかな晴れた日の大気電場変動は小さく、雨の日の大気電場変動は大きくなります。でも、例外的な日もあります。

晴れているのに大気電場変動が大きい、そんな例外的な日をピックアップして短時間の雷雨の有無などをざっと検討してみました。たいていは何らかの説明がつくのですが、どう考えても異常データだ、という日がやはり出てきます。記事の最後に触れますが、晴れているのに、正午から午後3時にかけて3回にわたって、一瞬だけスパイク状の大きな負の大気電場変動がみられた日(2010年2月6日)には、最初のスパイクの約2時間後に千島列島でM6.1の地震があった、という興味深い事象(偶然?)も見つかりました。

パワースペクトルの話からずいぶん脱線してしまいましたが、予備的調査で見つかったこの興味深い事象は、パワースペクトルの話に切りがついたら、ちゃんと統計的に調べてご報告します。

   *

降水の有無と地表大気電場変動

次に示す図は、降水の有無で区別して、茨城県柿岡における2010年(1/1〜12/31)の毎日の地表大気電場変動の様子をプロットしたものです。

Fig_rain_2
図1

横軸には1日の地表大気電場(下向きを正)の最大値 Emax をとっています。たて軸には変動比 ΔE/Emax をとっています。ここで、ΔE ≡ Emax - Emin は、一日の地表大気電場の変動幅です。

たとえば1日の地表大気電場の最大値が 100V/m、最小値が 50V/m ならば、ΔE=50V/m なので変動比 ΔE/Emax は0.50となります。 また、最大値が 100V/m、最小値が -100V/m ならば、ΔE=200V/m なので変動比は2.0となります。

おおむね変動比が1未満であれば、大気電場変動は小さい。変動比が1を超えるならば、電場最小値 Emin はマイナスである。さらに変動比が2を超えるならば、マイナスであるEminの絶対値のほうがEmaxより大きい、ということになります。

降水については、茨城県土浦(アメダス観測点)における日降水量が0.1mm以上の場合を降水あり、そうでない場合を降水なし、としています。

(今回の分析では簡単のため、大気電場変動はUTCの1日でみており、降水の有無は日本時間でみています。両者には9時間のずれがあります。)

図1をみると、雨の日には、地表大気電場の最大値も日変動比も大きくなりやすいことがわかります。その様子を度数分布で示したのが次の図2です。

Fig_rain_analysis_2
図2

一番右の「無条件」と書かれた棒をみると、1年365日(欠測日をのぞいて361日)のうち降水のある日は113日、つまり、約3分の1弱であることがわかります。

一方、地表電場の日変動比 ΔE/Emax が2以上である日に限定すると、降水のある日の割合は約3分の2となっています。(Emaxが300V/mより大きい場合でも小さい場合でも。)


日照時間と地表大気電場変動

次に示す図は、日照時間比率で区別して、2010年の毎日の地表大気電場変動の様子をプロットしたものです。

Fig_sun_2
図3

横軸とたて軸は図1と同じです。

日照時間比率とは、その季節に期待できる最大の日照時間に対する、その日の実際の日照時間の比率です。期待できる最大の日照時間は、冬には短く夏には長くなります。たとえば日照時間比率が100%であれば、日の出から日の入りまでフルに日照があったということですし、日照時間比率が0%ならば、ずっと雲に覆われていて全く日が差さなかったということです。

日照時間比率が100%に近ければ、その日の日中はほぼ快晴であったと考えてよいでしょう。ただし、夜間に空が雲で覆われたり雨が降っていたりしても、この日照時間比率には影響しないことに注意する必要があります。

図3をみると、日照時間比率が90%超の日(=日中よく晴れた日)はおおむね、地表大気電場の最大値 Emax は300V/m以下と小さく、変動比 ΔE/Emax も2未満で小さいことがわかります。

また、変動比 ΔE/Emax が大きい日はたいてい、日照時間比率が小さい(=曇っていたり雨である)ことがわかります。


平均風速と地表大気電場変動

次に示す図は、平均風速(北向き成分)で区別して、2010年の毎日の地表大気電場変動の様子をプロットしたものです。

Fig_v_north_3
図4

平均風速の北向き成分は簡便に、アメダス土浦観測点の日平均風速とその日の最頻風向(16方位)から計算しました。

図4をみると、北風(=南向きの風)が強いときには日変動比 ΔE/Emax が大きくなりやすいことがわかります。これは北風のときには天気が悪い場合が多いからかも知れません。

次に示す図5は、同様なプロットを平均風速の東向き成分について行ったものです。

Fig_v_east_2
図5

東風か西風かということは、地表大気電場の最大値や日変動比にそれほど影響しないように見えます。


大気電場が静穏でよく晴れた日の特徴

大気電場が静穏で、かつ、よく晴れた日を選び出して、その日の天候(気圧配置など)を調べてみましょう。

2010年のデータから次の3つの条件をともに満たす日を選び出します。
・大気電場の日変動比 ΔE/Emax が0.75未満
・降水がない
・日照時間比率が90%を超える

すると次の6日が取り出されました。
2010/1/1
2010/1/19
2010/6/1
2010/10/11
2010/12/4
2010/12/26

リンク先の気象庁のページで天気図や風速を確認すると、いずれも冬型が少しゆるんだ穏やかな晴天日や、移動性高気圧が日本海に進んできた穏やかな晴天日であることがわかります。


よく晴れていても、大気電場が大きく変動する日はあるだろうか

では、よく晴れているにも関わらず、地表大気電場が大きく変動する日はあるのでしょうか。

それを調べるため、2010年のデータから次の3つの条件をともに満たす日を選び出します。
・大気電場の日変動比 ΔE/Emax が2.0を超える
・降水がない
・日照時間比率が90%を超える

すると次の3日が取り出されました。
2010/2/6
2010/3/20
2010/5/21

このうち、あとの2つは、日中ではなく夜間に空が雲に覆われています。3/20のケースでは西から低気圧が接近しており、夜半から雲がかかっています。また、5/21のケースでは夜明け前に低気圧が通過して雲がかかっています。いずれのケースでも、これらは日没後あるいは日の出前のことで日照時間比率には現れていません。「よく晴れている」という条件を実は満たしていなかったわけです。

しかし、最初の2/6のケースは、どうにも説明がつきません。冬型の気圧配置のなか、三陸沖を小さな低気圧が南進するという奇妙な天気の日ですが、茨城県を背の高い雲が覆った気配はありません。

ところが、この日の大気電場には、次のようにUTC3:00から6:00まで(日本時間の正午から午後3時まで)3回にわたって特異なスパイク状の負変動がみられます。

Kakioka20100206_2
図6

そして興味深いことに、この日(2010年2月6日)の午後1時44分には千島列島でM6.1の地震が発生しています。1回目のスパイクの約2時間後です。さらに、地震発生時刻は、大気電場変動の2回目のスパイクと一致しているように見えます。

このあたりの興味深い偶然?についてはいずれ統計的にちゃんと調べるつもりです。次回はまず、静穏日のパワースペクトルの課題を片付けます。では。

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7.地表大気電場のパワースペクトルと電場変動の原因(1)

晴れた日に地表大気電場が小刻みに変動するのはなぜか、という話の続きです。

今回は、地表の1観測点での大気電場時系列のパワースペクトルを見れば電場変動の原因がわかる、というアイデアについて考察します。測定データを扱うのではなくて、まずは理論的に調べます。


考察する時系列2つ

素材として、2つの大気電場時系列(モデルによる計算値)をとりあげます。

1つは帯電空気塊たちが上空の風で流されて生じる大気電場の時系列で、もう1つは周囲と電気伝導度の異なる空気塊たちが上空の風で流されて生じる大気電場の時系列です。

Efield_time
図1

いずれも前回の記事で説明したものと同様な方法で計算しました。風速の高度分布や箱のサイズ、周期境界条件についての仮定は、前回の記事のものと同じです。

グラフの2つの曲線は似ているようでもあり、違うようでもある。目で判別するのは困難です。そこで両者のパワースペクトルを比較してみます。


2つの時系列のパワースペクトルを比較する

Power
図2

データA(曲線A)のほうは、横軸にとった振動数fが増えるにつれてパワーは徐々に加速しながら下がっていくのに対して、データB(曲線B)のほうは振動数fが小さい領域(左側)ではほとんど一定で、ある振動数(≒0.002Hz)あたりから急激に下がっていくように見えます。

つまり、データAのパワースペクトルのグラフはゆるやかに曲がっているが、データBのそれはほとんど折れ曲がっているということです。

こうした特徴は理論的にうまく説明できるでしょうか?


パワースペクトルの理論値

電荷分布や電導度分布、風速分布があまり簡単ではないので、パワースペクトルの理論値を計算するのは容易ではありません。ここでは思いっきり単純化して、「第0近似での理論値」を求めてみます。

Exp_pt
図3

図3は決まった高度Hの直線上に、たくさんの点電荷がランダムに分布し、地表観測点にクーロンの法則にしたがって電場を作り出している、というモデルです。点電荷は帯電空気塊の理想化です。

電荷が風に流されるにつれ、地表電場も変動します。このモデルによるパワースペクトルの理論値を記号Fで表します。(*1)

Exp_di
図4

図4は決まった高度Hの直線上に、たくさんの電気双極子がランダムに分布し、地表観測点に電場を作り出している、というモデルです。電気双極子は、周囲と電気伝導度が異なる帯電空気塊の上面と下面に、外部大気電場により生じる異符号の面電荷の理想化です。

双極子が風に流されるにつれ、地表電場も変動します。このモデルによるパワースペクトルの理論値を記号Gで表します。(*1続き)


パワースペクトルAは2つの理論のいずれに合致するか

Power_fit1
図5

図5は、パワースペクトルのデータAを、理論FとGでそれぞれフィットしたものです。

理論Fのほうがよく当てはまっています。これは期待どおりの結果です。

点電荷モデルで生み出した時系列Aのパワースペクトルは、(単純化した)点電荷理論によるパワースペクトルの理論値Fのほうにより合致しています。(単純化した)双極子理論によるパワースペクトルの理論値Gにはあまり当てはまりません。(*2)


パワースペクトルBは2つの理論のいずれに合致するか

Power_fit2
図6

図6は、パワースペクトルのデータBを、理論FとGでそれぞれフィットしたものです。

理論Gのほうがよく当てはまっています(差はわずかですが)。これも期待どおりの結果です。

双極子モデルで生み出した時系列Bのパワースペクトルは、(単純化した)双極子理論によるパワースペクトルの理論値Gのほうにより合致しています。

ところで、どうして(データBには当てはまらないはずの)理論Fによるフィットは、理論Gによるフィットとほとんど差がないほど、うまくいっているのでしょうか。

おそらく、データBを生み出した電気双極子たちが、実際には一定高度ではなく、さまざまな高度に分布していることが効いています。理論Gによる曲線はある振動数付近で折れ曲がっていますが、この折れ曲がる振動数は双極子の高度によって違います。さまざまな高度に対応した理論曲線Gが足し合わされる結果、理論Fによるゆったりと曲がった曲線でもそこそこうまくフィットできてしまうのだと思われます。(*3)


結論

というわけで、1地表観測点での大気電場時系列のパワースペクトルの折れ曲がり具合を、理論曲線FまたはGと比較することで、大気電場変動の原因が、風に流される帯電空気塊たちなのか、あるいは、同じく風に流される、周囲と電気伝導度の異なる空気塊たちなのか、を判別できるであろう、というのが今回の記事の結論です。

次回の記事では、実際の大気電場時系列の観測データを用いて、2つの理論曲線F、Gとの比較を実行してみようと考えています。とはいっても、WSは自分で大気電場の計測を行っているわけではありません。インターネット上で入手可能な測定データをこれから探してみようと思います。


乱流、ブラント・バイサラ振動など

気になりながら、考察を後回しにして通りすぎてきたいくつかの点にコメントします。

1つは乱流によるゆらぎのことです。

これまでの記事では空気塊は上空の平均流(10m/s程度)のみによって流されると仮定し、乱流、すなわち、風速の平均流からのゆらぎ(0.5m/s程度)は無視してきました。

乱流の影響を考慮すると、パワースペクトルの、大きい振動数領域での減衰の様子が変わる可能性があります。

上で述べた理論値Fと理論値Gのいずれにおいても、振動数fが大きい領域では、パワーPがfの指数関数を含む f・exp(-2f/f0) の形で減少します。

いっぽう、乱流のエネルギースペクトルは、振動数fのべき乗 f-5/3 に比例して減少します。

乱流による移流を反映して、大気電場時系列のパワースペクトルも振動数fが大きい領域では、振動数fのべき乗に比例して減少する項が相対的に重要になる可能性があります。

もう1つはブラント・バイサラ振動の影響です。この振動は、安定度の高い大気層で生じる力学的な振動です。この振動が生じたときには、地表大気電場のパワースペクトルにも、特定の振動数のところでピークが生じると思われます。

では。

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*1) まず、上空の点電荷たちが作る地表電場のモデルを考えます。簡単のため大気の伝導度は高度によらず一定であるとします。

図3のように、決まった高度Hの直線上(x軸に平行で、x軸の真上)に、たくさんの点電荷がランダムに分布しているとします。地表の座標xにおける電場の鉛直下向き成分 E(x) は

Eq1_2

で与えられます。ここで q1, q2, ...は各々の点電荷の電気量に比例します。f(x)は単位電荷が水平方向にxだけ離れた地表点に作る電場の鉛直下向き成分です。

地表電場 E(x) のフーリエ変換を ^E(k) とします。kは波数です。

Eq2

ここで、点電荷の分布に依存する量 Q(k) を

Eq3

と定めました。

パワースペクトル P(k) は

Eq4

で与えられます。^f(k) は単位電荷が作る電場のフーリエ変換です。また、|Q(k)|2

Eq5

で与えられます。この量は点電荷がランダムに分布しているので簡単には評価できません。しかし、電気量q1, q2, ...も平均値ゼロのまわりに分布するランダムな量であることを考えれば、右辺の和でj≠lなる項はたいていの状況で互いにキャンセルすると期待してよいでしょう。

そこで大胆に、(適切な意味で「平均」をとれば)|Q(k)|2はkによらない定数である、と仮定することにします。

この仮定のもとでは、パワースペクトルの関数形を決めるのは ^f(k) であることになります。

さて、単位電荷が作る電場は

Eq6

なので、そのフーリエ変換は

Eq7

となります。ここで x = Hu と無次元の変数uを導入して、置換積分しました。

p = Hk を変数として表すと、パワースペクトルは次の関数 F(p) で決まります。

Eq8

2行目の近似形は、積分を少し変形したあとで鞍点法で評価したものです。

   *

次に、上空の電気双極子たちが作る地表電場のモデルを考えます。

図4のように、決まった高度Hの直線上(x軸に平行で、x軸の真上)に、たくさんの双極子がランダムに分布しているとします。地表の座標xにおける電場の鉛直下向き成分 E(x) は

Eq9

で与えられます。ここで s1, s2, ...は各々の電気双極子の強さ(符号あり)に比例します。g(x)は単位双極子が水平方向にxだけ離れた地表点に作る電場の鉛直下向き成分です。

Eq10

点電荷の場合と同様に考えていくと、双極子の場合のパワースペクトルは次の関数 G(p) で決まることがわかります。

Eq11


*2) データAのフィットの結果は、理論Fでは点電荷たちは高度H=1kmあたりに分布し、理論Gでは双極子たちは高度H=1.5kmあたりに分布しているというものです。この高度は次のようにして求めました。

図5で、理論Fによるフィットではf0=0.00151Hzとなっています。これは、時系列のパワースペクトルが|F(f/f0)|2に比例するとして、最小2乗法でパラメータf0を求めたものです。(ここでfは振動数です。記号の重複があってごめんなさい。)

このf0の意味を考えます。いまは上空の点電荷たちがv=約10m/sの風で流されてx軸に沿って動いているので、x軸上の電場E=E(x)は時間tが経つとE=E(x-vt)に変化します。つまり、時刻ゼロにおけるx軸上の電場分布は、原点x=0における時間軸上の電場分布と一対一に対応しています。それらのフーリエ変換どうしも対応しています。

f/f0 = p = H・k = H・2πf/v

∴ H = v/(2πf0) ≒ 1054 m

理論Gについても同様にして高度Hが計算できます。


*3) データBのフィットの結果は、理論Fでは点電荷たちは高度H=1.1kmあたりに分布し、理論Gでは双極子たちは高度H=1.7kmあたりに分布しているというものです。

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紹介:地震前の大気イオン濃度不安定(ケロ君の地震予知さん)

静岡市内で正イオンと負イオンの大気イオン濃度を毎日測定しておられるケロ君の地震予知さん。

昨日(2011/6/30)朝8時21分の地震(長野で震度5強)前に、朝7時10分から測定を開始するも測定値が安定せず、約30分も測定を繰り返されたとか。

これで思い出したのは、YouTubeにあがっているNASA Ames研究所のF T Freund博士の講演です。
Earths Many Voices a Unified Theory for Pre-Earthquake Signals(2009年)

英語ですが、図が一杯あって、およそw 理解できます。

地下で圧力を受けた岩石がP型半導体として振るまい、ホールが周りの地層中、さらには地表へとしみ出してくるというのが博士の説です。ホールは地表で空気中のO2分子から電子を捕獲して、O2+イオンが生まれる(動画33分14秒あたりから)。

室内実験では、岩石のまわりの空気の正イオン濃度が増えるだけでなく、正イオン優勢になったあと負イオン優勢になる、という交替現象もみられるようです(動画29分30秒あたりから)。

動画の35分34秒あたりから日本の「謎の」サイトのグラフが出てきます。地震前に正イオンと負イオンの連動した濃度変動が捉えられています。(おそらく北日本の地震で、200kmほど南の観測地点でのデータ)

こうしたデータは貴重らしく、博士はメールで連絡を取ろうとしたけど返事がないと嘆いておられるみたいなんですが、正イオンと負イオン両方の濃度変動のグラフが見られるような国内のサイトって、現在あるのだろうか。

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