« 気柱 10 粘性が効く管の太さ | トップページ | 静電気現象と地震の短期予知についての一考察 »

気柱11 レビンとシュヴィンガーの理論値の紹介

前回の更新からずいぶん時間が経ってしまいました。
11回目の今日は復習をかねて、空気の粘性を無視した場合の話で不十分だった点を補います。

具体的には、レビンとシュビンガーによる開口端補正の理論値を紹介し、それと、このブログの第9回で扱ったモデル1による理論値とを比較します。

■レビンとシュビンガーによる理論値 (空気の粘性は考慮せず)

以前お話ししたように、管壁がきわめて薄い円筒形の管の、空気の粘性を無視した場合の理論値については、1948年にレビンとシュヴィンガーが厳密な解を与えています。
http://prola.aps.org/abstract/PR/v73/i4/p383_1

_111


グラフの横軸は管の太さ(内径)で、縦軸は開口端補正の長さです。
具体的には、管の内径をa、開口端補正の長さをΔ、音の波長をλ、波数をk=2π/λとして、縦軸にはΔ/a、つまり、開口端補正の内径に対する割合をとってあります。
また、横軸にはka=2πa/λ、つまり波長に対する内径の割合(を位相に換算したもの)をとってあります。

レビンとシュビンガーの理論値では、音の波長に較べて管が十分に細い場合、つまり、グラフの左の方では、「開口端補正は半径の約0.61倍」になっています。また、管が太くなると、開口端補正の半径に対する割合は減少します。

例を見ておきます。音速は気温や湿度によって少し変わりますが、c=340 m/sであるとします。f=1000 Hzの音源で気柱共鳴の実験を行ったとすれば、波長はλ=c/f=34 cmです。内径a=2 cmの管なら、ka=2π×2 cm/34 cm≒0.369…なので、グラフの左の方をみて、Δ/a≒0.6であることが読みとれます。つまり、彼らの理論値によれば、この管の開口端補正の長さはΔ≒0.6×2 cm=1.2 cmということになります。


■モデル1による理論値(空気の粘性は考慮せず)

上のグラフには、このブログの第9回で扱ったモデル1による理論値も合わせて示しました。モデル1は、開口から放射される球面波の強さが向きによらないという単純化した仮定をおいたモデルです。

そのため、厳密な考察をしているレビンとシュビンガーの理論値からは当然ずれます。やりすぎと思えるほどの単純化をしたわりには、管の太さが増えると、開口端補正の半径に対する割合が減少するなど、傾向は正しく出ていますが…。

グラフの左のはしでは、モデル1の開口端補正は内径の0.5倍になっています。約0.61倍というレビンとシュビンガーによる理論値からは少しずれています。
また、全体に、彼らの理論値のグラフに較べて、モデル1の理論値は下にずれている、つまり、開口端補正が小さく出ています。
これは、モデル1では、開口付近で空気が実際より自由に運動できると仮定されているためと考えられます。


■空気の粘性を考慮するとどうなるだろうか

上では粘性の影響を考えませんでしたが、それを考えるとどうなるか、予想を述べます。

上のグラフで、横軸はそのままにして、縦軸にΔ/λ、つまり「波長に対する開口端補正の割合」をとって書き直したのが次の図です。

_112


管が太くなるにつれ、波長に対する開口端補正の割合は(非常に太い管の場合を除いて)増加することがわかります。

特に、非常に細い管では、上の割合はほとんどゼロになっています。図の左端近くの領域では、開口端補正は内径の0.5倍〜0.6倍なので、波長に較べて非常に小さいからです。

さて、Wave of soundの予想では、空気の粘性の影響は細い管ほど大きく現れます。非常に細い管では開口端補正は波長の8分の1、つまり0.125倍になるはずです。

ですから、粘性の影響を正しく考慮した場合には、上のグラフは修正されるはずです。グラフは左の方で再び上がり、左端では0.125のところで縦軸と交わるでしょう。全体として、グラフはU字型の谷の形になるはずです。その正しい形を求めることが、いまの研究課題です。

|

« 気柱 10 粘性が効く管の太さ | トップページ | 静電気現象と地震の短期予知についての一考察 »

「気柱共鳴の物理」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 気柱 10 粘性が効く管の太さ | トップページ | 静電気現象と地震の短期予知についての一考察 »