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日本の財政赤字(2)涙の一人あたり名目GDP成長率---OECD諸国で最低

次に示す図は、OECD諸国(25か国)(*1)の過去10年間の一人あたり名目GDP成長率(ドル表示で計算)を比較したものです(*2)。
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図1 (クリックで拡大)

日本はビリ(涙)。他国の成長率との差は歴然です。一体どうしてなんでしょうか。過去10年あまり、経済政策が根本的に間違っていたとしか思えません。

前回の記事でとりあげた図を見ていただくと、「経済政策のミス」がいつ起きたのかがわかります。

大きな「ミス」は2回ありました。1回目は1997年の消費税率のアップ(3%→5%)であり、2回目は2000年の緊縮財政(構造改革)です。

いずれも財政出動による景気回復にともなって、累積債務が持続可能となる状態、すなわち、名目成長率が長期金利を上まわる状態に日本経済が移行しかけたそのときに、「誤った政策」で景気の腰を折ってしまったのです。

いま再び、消費税率アップを求める声が大きくなっています。しかし、消費税を社会保障費の赤字の穴埋めのためだけに使い、政府支出の総額を変えないならば、国民所得は間違いなく減少します。

たとえば、消費税率を2%上げたとしましょう(5%→7%)。すると個人消費が16兆円、国内民間投資が6兆円減るため、国民所得は計22兆円も減ります。その結果、税収の増加はトータルで1兆円しかありません。景気の悪化のために、所得税や法人税が減少して、消費税収の増加を打ち消してしまうためです(試算の詳細)。

日本のGDPは約500兆円なので、年収500万円の人にたとえるなら、所得が22万円も減る。年収250万円なら11万円の減少にあたる政策です。日本経済に対する相当の劇薬といえるでしょう。それなのに、税収は増加はたった1兆円しかない。消費税率アップなどという話はとても正気とは思えません。これほど国民に厳しく、暗い未来しか見えてこない政策に、いったい、どんな魅力があるというのでしょうか。

むしろ、崩壊しかかった中間所得層を立て直し、消費性向を上げ、内需をもりあげ、個人消費の力で景気回復を図り、名目経済成長と財政再建を実現するほうが百倍も千倍も望ましいと思えます。単に国民にとって望ましいだけでなく、そうすることで日本が世界経済のエンジンとなり、サブプライムバブルの崩壊で痛手を負った各国からも感謝されるのではないでしょうか。

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注:
上では、1996年から2006年までの一人当たり名目成長率の計算は、ドル表示でなされていまが、この10年で為替レートはあまり変化していないため(ドル/円レートは1996年 116.1、2006年 118.9)、円表示で計算した日本の名目成長率もほとんど同じになります。

参考までに、1985年から2006年までの21年間の一人当たり名目成長率をドル表示で比較したグラフを下に示します(ドル/円レートは1985年 200.6)(*2)。これは1980年代後半の日本における不動産バブルの時期を含んでおり、また円高が進行した時期なので、日本の名目成長率が見かけ上、高く出るはずです。にもかかわらず、最下位に近い低い成長率となっています。
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図2(クリックで拡大)

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*1) 1985年時点
*2) 国民経済計算(平成18年度確報)の参考表を元に作成
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付記:2つの成長率のグラフですが、縦軸の目盛が間違っていたので直しました。正しいグラフでは、以前にアップしたものより成長率が高くなっています。エクセルのlogが常用対数であることを知らず、自然対数だと思いこんでいたためです。お詫びして訂正します。(2008.1.23)

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