ドル崩壊? それともドル高? ---1998年以前の「ユーロ」為替レート
2001年9月から6年あまり、ユーロは対ドルでも対円でも上昇を続けています。この傾向はずっと続くのでしょうか。
それを調べるには、長期のチャートがほしい。しかし、1998年以前には「ユーロ」という通貨はなかった。というわけで、かつての独マルク、仏フラン、伊リラのレートから、仮想通貨「ユーロ」のレートを推定してみました。
ユーロ圏のGDPのおよそ7割はドイツ、フランス、イタリアの3カ国が占めていて、3カ国内での比率は順におよそ45%、30%、25%です。この重みで3通貨(マルク、フラン、リラ)のレート(*1)の(乗法的な)重みつき平均を計算して求めたのが、上のグラフの「ユーロ」レート(1971年〜2008年)です。
ユーロ/ドル相場(青色の線)を見て下さい。現在はかつてないユーロ高(約1.4ドル/ユーロ)と言われていますが、過去30年で、この水準のユーロ高は1980年頃と1990年代初頭の2回あったことがわかります。いずれも中東の戦争で原油が高く、米国の財政赤字が急拡大した時期です。2回とも、その後の5〜10年で1ドル/ユーロを割る水準までドル高ユーロ安が進行しました。
サブプライムバブルの崩壊をきっかけとした信用収縮の過程が、暴走せずに踏みとどまるならば、ドル安による米国の輸出の好調に、いずれはおきる原油価格の低下が幸いして米国経済が復調し、(対ユーロで)ドル高が進行するというストーリーもあり得るように思います。
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注 *1) FRBのHPで取得できる過去データから計算。
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