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安定成長と財政収支改善のための政策(2)

((1)の続き)

次に、横軸に限界税率α2、縦軸に他のパラメータをとって、安定成長であるか、また、財政収支は良好かどうか、を調べたグラフを検討します。 全部で次の5つです。

・限界税率&平均税率と経済・財政の安定度(既出)
・限界税率&平均投資性向と経済・財政の安定度
・限界税率&限界投資性向と...同上...
・限界税率&消費性向と...
・限界税率&政府支出比率と...

このうち、最初のグラフ、すなわち、限界税率&平均税率を軸にとったグラフは、前回の記事ですでに見ました(図1−2)。 グラフからは、平均税率を下げること、また、限界税率を高めることが、経済の安定成長と財政収支の改善のために望ましいことがわかりました。

そこで残りの4つのグラフについて順に見て行きます。


■限界税率&平均投資性向と経済・財政の安定度
2_3
図2−3

図は、横軸に限界税率α2、縦軸に平均投資性向γ1をとって、どのあたりでスコアが高いかを示したものです。 図に示された黒丸は、現在の日本経済の状態です。 赤い矢印の方向にパラメータを変えることができれば、経済が安定成長に近づき、財政収支が改善します。 そのような政策は、さきほどの表を見るとわかるように、所得税累進性の強化と長期的な投資を促すことです。 では次の図に行きます。


■限界税率&限界投資性向と経済・財政の安定度
2_4
図2−4

横軸には先ほどと同じ限界税率α2、縦軸には限界投資性向γ2をとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、所得税累進性の強化と、消費の増減に対する投資の過敏性を抑えることです。 次の図に行きます。


■限界税率&消費性向と経済・財政の安定度
2_5
図2−5

横軸には先ほどと同じ限界税率α2、縦軸には消費性向βをとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、所得税累進性の強化と、消費性向を高めること(再分配政策&将来不安の払拭)です。 次の図に行きます。


■限界税率&政府支出比率と経済・財政の安定度
2_6
図2−6

横軸には先ほどと同じ限界税率α2、縦軸には政府支出比率gをとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、所得税累進性の強化と、政府支出の対GDP比を高めることです。  

   *

以上、限界税率α2が関係する5つの射影図をみてきました。 いずれの図からも、限界税率は現状より高めた方が、経済の安定成長と財政収支の改善にはよいことがわかります。 このモデルからは所得税累進性の強化が望ましいと言えます。

   *

次に、横軸に平均投資性向γ1、縦軸に他のパラメータをとって、安定成長であるか、また、財政収支は良好かどうか、を調べたグラフを検討します。 全部で次の5つです。

・平均投資性向&平均税率と経済・財政の安定度(既出)
・平均投資性向&限界税率と経済・財政の安定度(既出)
・平均投資性向&限界投資性向と...同上...
・平均投資性向&消費性向と...
・平均投資性向&政府支出比率と...

このうち、最初の2つのグラフ、すなわち、平均投資性向&平均税率を軸にとったグラフ(図1−3)と、平均投資性向&限界税率を軸にとったグラフ(図2−3)はすでに見ました。 グラフからは、平均税率を下げること、限界税率を高めること、また、平均投資性向を高めることが、経済の安定成長と財政収支の改善のために望ましいことがわかりました。

そこで残りの3つのグラフについて順に見て行きます。


■平均投資性向&限界投資性向と経済・財政の安定度
3_4
図3−4

図は、横軸に平均投資性向γ1、縦軸に限界投資性向γ2をとって、どのあたりでスコアが高いかを示したものです。 図に示された黒丸は、現在の日本経済の状態です。 赤い矢印の方向にパラメータを変えることができれば、経済が安定成長に近づき、財政収支が改善します。 そのような政策は、さきほどの表を見るとわかるように、長期的な投資を促すことと、消費の増減に投資が過敏になるのを抑えることです。 では次の図に行きます。


■平均投資性向&消費性向と経済・財政の安定度
3_5
図3−5

横軸には先ほどと同じ平均投資性向γ1、縦軸には消費性向βをとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、長期的な投資の促進と、消費性向を高めること(再分配政策&将来不安の払拭)です。 次の図に行きます。


■平均投資性向&政府支出比率と経済・財政の安定度
3_6
図3−6

横軸には先ほどと同じ平均投資性向γ1、縦軸には政府支出の対GDP比gをとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、長期的な投資の促進と、政府支出の対GDP比率を高めることです。

   *

以上、平均投資性向γ1が関係する5つの射影図をみてきました。 いずれの図からも、平均投資性向を現状より高めた方が、経済の安定成長と財政収支の改善にはよいことがわかります。 このモデルからは、景気に左右されない長期的な投資の促進が望ましいと言えます。

   *

次に、横軸に限界投資性向γ2、縦軸に他のパラメータをとって、安定成長であるか、また、財政収支は良好かどうか、を調べたグラフを検討します。 全部で次の5つです。

・限界投資性向&平均税率と経済・財政の安定度(既出)
・限界投資性向&限界税率と...同上...(既出)
・限界投資性向&平均投資性向と...同上...(既出)
・限界投資性向&消費性向と...
・限界投資性向&政府支出比率と...

このうち、最初の3つのグラフ(図1−4、図2−4、図3−4)はすでに見ました。 グラフからは、平均税率を下げること、限界税率を高めること、平均投資性向を高めること、また、限界投資性向を抑えることが、経済の安定成長と財政収支の改善のために望ましいことがわかりました。

そこで残りの2つのグラフについて順に見て行きます。


■限界投資性向&消費性向と経済・財政の安定度
4_5
図4−5

図は、横軸に限界投資性向γ2、縦軸に消費性向βをとって、どのあたりでスコアが高いかを示したものです。 図に示された黒丸は、現在の日本経済の状態です。 赤い矢印の方向にパラメータを変えることができれば、経済が安定成長に近づき、財政収支が改善します。 そのような政策は、さきほどの表を見るとわかるように、消費の増減に対する投資の過敏性を抑えることと、消費性向を高めること(再分配政策&将来不安の払拭)です。 では次の図に行きます。


■限界投資性向&政府支出比率と経済・財政の安定度
4_6
図4−6

横軸には先ほどと同じ限界投資性向γ2、縦軸には政府支出の対GDP比gをとってあります。 安定成長と財政収支改善のために望ましい政策は、消費の増減に対する投資の過敏性を抑えることと、政府支出のGDP比率を高めることです。

   *

以上、限界投資性向γ2が関係する5つの射影図をみてきました。 いずれの図からも、限界投資性向を現状より抑えた方が、経済の安定成長と財政収支の改善にはよいことがわかります。 このモデルからは、消費の増減に対する投資の過敏性を抑えることが望ましいと言えます。

   *

次に、横軸に消費性向β、縦軸に他のパラメータをとって、安定成長であるか、また、財政収支は良好かどうか、を調べたグラフを検討します。 全部で次の5つです。

・消費性向&平均税率と経済・財政の安定度(既出)
・消費性向&限界税率と...同上...(既出)
・消費性向&平均投資性向と...同上...(既出)
・消費性向&限界投資性向と...同上...(既出)
・消費性向&政府支出比率と...

このうち、最初の4つのグラフ(図1−5、図2−5、図3−5、図4−5)はすでに見ました。 グラフからは、平均税率を下げること、限界税率を高めること、平均投資性向を高めること、限界投資性向を抑えること、また、消費性向を高めることが、経済の安定成長と財政収支の改善のために望ましいことがわかりました。

そこで残る1つのグラフを見ます。


■消費性向&政府支出と経済・財政の安定度
5_6
図5−6

図は、横軸に消費性向β、縦軸に政府支出比率gをとって、どのあたりでスコアが高いかを示したものです。 図に示された黒丸は、現在の日本経済の状態です。 赤い矢印の方向にパラメータを変えることができれば、経済が安定成長に近づき、財政収支が改善します。 そのような政策は、さきほどの表を見るとわかるように、消費性向を高めること(再分配政策&将来不安の払拭)と、政府支出の対GDP比率を高めることです。

   *

以上、消費性向βが関係する5つの射影図をみてきました。 いずれの図からも、消費性向を現状より高めた方が、経済の安定成長と財政収支の改善にはよいことがわかります。 このモデルからは、再分配政策や将来不安の払拭で国内消費をもりあげることが望ましいと言えます。

   *

■政府支出比率と経済・財政の安定性

最後に、政府支出比率gが関係する5つのグラフについてコメントします。 これらのグラフはすべて既出です。 そして、いずれの射影図を見ても、政府支出比率を高めた方が、経済の安定成長と財政収支の改善にはよいことがわかります。

ただし、この結果は、税財政ブロックに限定した今回のモデルの設定から考えて、ある意味で当然の結果です。 モデルのどの部分にも、政府が大きくなると、政府自体や国の経済全体の効率が悪くなる、といった仮定は置いていません。 また、政府は収入(税収)の100%を支出する(場合によっては100%以上を支出する)経済主体ですから、政府の規模が大きいことは国全体の消費性向を上げるように作用し、(このモデルでは)安定成長をもたらすのです。 現実の政府が、このモデルで仮定したように、大きくなっても効率の低下を招かない存在なのかどうか、というのは意見が分かれるところでしょう。

政府の規模はおそらく、政府はどのような役割を果たすべきなのか、といった別の基準によって決めるべきモノです。 そして、その規模がどの程度であれ、GDPの2〜4割といった範囲に収まっているのであれば、他の経済パラメータを政策により変化させて、国の経済を良好な状態にもっていける、ということが、射影図から読みとれます。 (かりに政府支出がGDPの1割だと、ちょっと政府規模が小さすぎるかも知れませんが。)

   *

■現時点で望ましい政策

以上の15個の射影図から読みとれる、現在の日本経済において望ましい政策の方向性を表にまとめておきます。

パラメータ望ましい変化望ましい政策
平均税率 α1消費税率ダウン
限界税率 α2所得税率の累進性強化
平均投資性向 γ1長期的な投資を促進
限界投資性向 γ2消費増減に対する投資の過敏性を抑制
消費性向 β再分配政策と将来不安の解消
政府支出比率 g政府支出増

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