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9.地表大気電場のパワースペクトルと電場変動の原因(2)

柿岡地磁気観測所での地表大気電場の観測データを画像ファイルから読みとって、パワースペクトルを計算してみました。

人工的な影響をなるべくさけるため、とりあえず、年末年始で、電場変動が静穏なケースを2つ調べました。

20091231_5days
図1 2009年12月31日(UTC8:00)から2010年1月4日(15:00)までのデータ

20101231_9days
図2 2010年12月31日(0:00)から2010年1月8日(20:00)までのデータ

の2つです。

順に結果を説明します。

なお、1日ごとのpng画像から地表電場の値を読み取ったため、解析したデータの時間分解能は189.9秒(約3分)となります。(∵1日=86400秒=455ドット=グラフの横幅 より、1ドット=189.9秒)


<2009年末から2010年始のデータ>

まず、2009年末から2010年始の地表大気電場のパワースペクトルから示します。

Power_fit
図3

グラフのたて軸にはパワーの常用対数をとっています。

グラフの横軸は振動数です。右端は2.6mHz(ミリヘルツ)までプロットしました。これは、時間分解能から決まるカットオフ振動数5.27mHzの半分です。

第7回の記事でとりあげた2つの理論FとG(F:点電荷理論(=電荷分布説)とG:双極子理論(=電導度分布説))による理論曲線も合わせて示しました。

ごらんのようにF:点電荷説のほうが若干誤差が小さくなっていますが、その差は小さく、また、0.1mHz以下の低振動数領域でいずれの理論曲線も観測データのパワースペクトルから大きくずれています。

0.1mHz以下の低振動数領域でも観測データを説明できるような、もっと精密な理論曲線を考えだす必要がありそうです。第7回の記事では非常に荒っぽい仮定をいくつかおいて理論曲線を導出しましたが、仮定のいくつかを見直さなければならないのでしょう。

次に示すのは図3の低振動数の領域(左半分)を拡大した図です。

Pow_low_f
図4

両対数グラフで傾きが約-1.5の直線上に乗っているように見えますが、理由は今のところ(WSには)よくわかりません。

次に示すのは図3の高振動数の領域(右半分)を拡大した図です。

Power_fit_s
図5

0.3mHz以上の高振動数領域ではいずれの理論値もそれほど悪くないように見えますが、理論FとGのいずれが妥当かを判断できるだけの観測データがありません。2.6mHzよりさらに高振動数での観測データが必要です。そのためには、観測データの時間分解能を上げる必要があります(たとえば1分足とか20秒足など)。

なお、理論式に現れる振動数パラメータf0は0.5〜0.7mHz程度の値になっています。これは、上空の風の速さが約10m/sであると仮定するならば、地表大気電場変動をもたらす電荷分布や電導度分布の典型的な高度が14〜20kmであることを意味しているのですが...

この高度はちょっと高すぎる感じがします。観測データの時間分解能が約3分と粗いため、あるいは理論曲線を導く際の仮定が不適切なために、間違ったパラメータフィッティングになっているのかも知れません。


<2010年末から2011年始のデータ>

つぎに、2010年末から2011年始の地表大気電場のパワースペクトルを示します。

Power_fit2011
図6

低振動数領域でいずれの理論曲線も観測データのパワースペクトルから大きくずれています。

次に示すのは図6の低振動数の領域(左半分)を拡大した図です。

Pow_low_f2011
図7

両対数グラフでは、やはり直線上に乗っているように見えます。傾きは約-1.25です。(さきほどの2009年末からのデータでは傾きは約-1.5でした。)

直線にのる理由は今のところ(WSには)よくわかりません。

次に示すのは図6の高振動数の領域(右半分)を拡大した図です。

Power_fit_s2011
図8

0.3mHz以上の高振動数領域ではいずれの理論値もそれほど悪くないように見えますが、残念ながら理論FとGのいずれが妥当かを判断できるだけの(高振動数領域の)観測データがありません。

   *

時間分解能の高い地表大気電場の観測データを探すこと(あるいは自分で測定する?)、そして、理論曲線の導出プロセスを再考してみることが宿題になりました。では。

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