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12.地表大気電場に生じるスパイクと地震活動との関係

前回の記事では、柿岡における2010年1年間の観測データを用いて、地表大気電場の変動と周辺の地震活動との関係を調べました。

その結果、大気電場の急激な変動(スパイク)のあとで、スパイクの種類に応じて、周辺の地震活動が活発化あるいは静穏化することがわかりました。

前回は、地震活動を大気電場のスパイクから予測したいという動機があったので、スパイク後の地震活動を調べたり、地震前のスパイク発生状況を調べたのです。しかし、論理的可能性としては、地震のあとでスパイク発生状況が変化したり、スパイクの前に地震活動が特定の状況になる、というケースも考えられます。

そこで今回は、前回と同じ2010年1年間の観測データを用いて、後者のケース、つまり、地震後のスパイク発生状況や、スパイク前の地震活動の状態について調べたいと思います。


地震後のスパイク発生状況

Aeq_up_stat
図1

上の図1は、地震後の一定期間(30日間、10日間、3日間)に発生した地表大気電場上方スパイクの強度和を、地震の柿岡へのインパクト別に示したものです。

・地震後30日間は、上方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。
・地震後10日間は、上方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。
・地震後3日間は、上方スパイクが減る(あるいは弱くなる)ように見えます。

Aeq_down_stat
図2

上の図2は、図1と同様な図ですが、こんどは下方スパイクについてのものです。

・地震後3日間は、下方スパイクが増える(あるいは強くなる)ように見えます。

これらの図から読み取れるこうした「傾向」が偶然に生じる確率(危険率)を、前回の記事と同様の手法でモンテカルロ法で調べた結果が次の表(図3)です。

Aeq_stat_check
図3

上方スパイクについて述べた「傾向」は確からしい(危険率が低い)ですが、下方スパイクについて述べた「傾向」はかなり怪しい(危険率が高い)ことがわかります。

前回の記事で調べた結果と合わせて、地震前後のスパイク発生状況を表にまとめてみます(次の図4)。

Beq_and_aeq_spike
図4

インパクト0.4以上の地震発生の前10日間には、上方スパイク強度和が増し、かつ、下方スパイク強度和が減少します。
しかし、同3日間(直前の3日間)には、そのような傾向は見られません。
地震後の3日間には逆に、下方スパイク強度和が増します。

地震前後のスパイク強度和の推移を図にすると次のようなイメージになります。

Beq_aeq_image
図5

上方スパイクが増え、かつ、下方スパイクが減ることは近々地震が起きることを示唆し、地震発生の時期には上方スパイクの減少と下方スパイクの増加が同時に見られる、というイメージです。

なお、地震後10日間の上方スパイク強度和が増えているのは、余震活動が原因の可能性があります。

つぎに、個々のスパイク前の地震活動がどうなっているかを調べます。
 

スパイク前の地震活動の状態

Before_spike_impact
図6

上の図6は、地表大気電場にみられるスパイク前の一定期間(30日間、10日間、3日間)の地震活動の強さの平均値を、スパイクの種類(強さ)別に示したものです。

なお、「一定期間の地震活動の強さ」とは、発生した地震の柿岡へのインパクトの和(の常用対数)を30日間あたりに換算した値のことです。

●強い上方スパイクの前30日間は、地震活動が活発であるように見えます。
●強い上方スパイクの前10日間は、地震活動が活発であるように見えます。
? 強い上方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 上方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。

・下方スパイクの前10日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 強い下方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。
? 下方スパイクの前3日間は、地震活動が低調であるように見えます。

見いだされたこれらの「傾向」の危険率をモンテカルロ法で調べたものが次の表(図7)です。

Before_spike_stat_check
図7

上の「傾向」のうち、先頭に記号 ? をつけたものは、真実かどうか怪しいことがわかります。

前回の記事で調べた結果とあわせて、スパイク前後の地震活動の状態を表にまとめてみます(次の図8)。

Before_after_spike_impact
図8

強い上方スパイクのあとで(ただし3日間とかではなく、30日間くらいの期間で)地震活動が活発になること。強い下方スパイクのあと10日間および30日間は地震活動が低調になることがわかります。これらは、図5のイメージと矛盾しません。

強い上方スパイクの前10日間および30日間に地震活動が活発なのは、余震活動と関係がある可能性があります。(余震前の上方スパイクであるということ。)

今回は以上です。

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