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15. T2.世界のどこでも地震は夜間に多く発生する

前回の記事では、日本付近で発生する地震について、地震は昼間より夜間に多く発生するという事実を紹介しました。 今回は、M2.0以上の世界の地震について時刻別の地震発生数(11年間)を調べてみました。

その結果、世界のどの地域でも、地震はやはり夜間に発生しやすいことがわかりました。 太陽の地震活動への影響が示唆される結果です。

震源の深さ別にみると、ごく浅い地震は深夜0時頃に発生しやすく、震源の深さが深くなるにつれて徐々に最頻発生時刻が遅くなり、深さ100kmあたり(リソスフェアとアセノスフェアの境界付近?)で最頻発生時刻が午前2〜3時ごろともっとも遅くなります。さらに震源の深さが深くなると、最頻発生時刻は徐々に早まって、深さ200kmで午前0時頃に戻ります。

また興味深いことに、深さ30〜40kmあたり(地殻とマントルの境界付近?)に、最頻発生時刻が特異的に遅くなる領域が存在します。

震源の地域別・深さ別に最頻発生時刻の分布を調べると、複数のプレートが重なり合う地域では、深さ(プレート)によって最頻発生時刻に違いが見られることもわかりました。

今回の記事ではこのような事実を報告します。


世界のどこでも地震は夜間に多く発生するのか

図1は、米国地質調査所(USGS)のデータベースより、2000年1月1日から2010年12月31日までの11年間に世界で発生したM2.0以上で震源の深さが200km未満の地震(約25万個)について、時刻別の発生数を表したものです。 UTCは世界時、Local timeは震源の場所での時刻を意味します。


Freq_local_utc
図1(クリックで拡大)

青色の棒グラフ(Local Time)を見ると、地震が夜間に多く、昼間に少ないことがわかります。 また、正午付近に小さなピークがあります。 いずれの特徴も、前回の記事で調べた日本付近の地震データにも見られました。

この地震発生数の偏りは、単なる統計確率的なゆらぎでは説明できないものです。

1時間あたり約1万個の地震が発生していることを考えると、1時間あたりの地震数に生じ得る、統計的なゆらぎの大きさはおよそ標準偏差でσ=100個程度です。 一方、青色の棒グラフではピークの地震数は午前3時台の11400個、最小は午後2時ごろの9700個ですから、その差1700個はおよそ±8σほどの発生数の偏差を意味しています。 これはとても偶然では説明できない大きさです。

なお、オレンジ色の棒グラフ(UTC)で見た発生時刻にも偏りがみられます。 この偏りは、Local Timeでみた場合に発生時刻に偏りがあることと、地震発生数が経度に対して一様に分布していないこと(図2参照)が合わさった結果であろうと思います。

Freq_lon
図2(クリックで拡大)

次の図3と図4は、地球を経度幅15度ずつの帯に分けて、各帯内で発生した地震の最頻発生時刻を調べたものです。 最頻発生時刻の求め方(定義)については前回の記事をご覧ください。

Lon_utc
図3(クリックで拡大)

図3は世界時での最頻発生時刻と震源の経度との関係を示したものです。 東へ行くにつれ、最頻発生時刻が早まる様子が読みとれます。

Lon_local
図4(クリックで拡大)

図4はLocal Timeでの最頻発生時刻と震源の経度との関係を示したものです。 地球上のどこでも、最頻発生時刻は真夜中付近であること。 西半球では真夜中か、真夜中より数時間早いこと。 東半球では真夜中か、真夜中より数時間遅れることが読み取れます。


震源の深さと地震の最頻発生時刻

図5は、震源の深さと地震の最頻発生時刻との関係を示します。

Dep_local
図5(クリックで拡大)

たとえば赤色の折れ線の場合、深さ40kmのところでの最頻発生時刻(Local Time)がおよそ午前2.6時となっていますが、これは深さ30kmから50kmの範囲内で発生したすべての地震(の集合)について最頻発生時刻を求めると午前2.6時である、ということです。 青色の折れ線の場合は深さ35kmから45kmの範囲で同様な量を考えています。

大きく全体を見ると、深さ80〜100kmで最頻発生時刻は最も遅くて午前2〜3時となっており、それより浅くても深くても最頻発生時刻は早まります。 地表付近(深さ0km)と深さ180km付近では、いずれも最頻発生時刻はほぼ真夜中(0時)となっています。

細かく見ると、深さ30〜40km付近に、最頻発生時刻が午前3〜5時と遅くなる特異な領域が存在します。 この深さが地殻・マントル境界の深さとほぼ一致しているのは興味深いことです。

 

地震の最頻発生時刻の地理的分布

図6は、世界の地域別の、地震最頻発生時刻の分布を表しています。

Lon_lat_maxhour
図6(クリックで拡大)

地域による違いが複雑に入り組んでいます。 しかし大きく見ると、西半球(と南半球)では最頻発生時刻がおおむね真夜中(0時)より少し早く、東半球(と北半球)では少し遅いことがわかります。

図7は参考図で、世界の地域別の震源の深さの平均値を示します。

Lon_lat_dep
図7(クリックで拡大)

図6で見た最頻発生時刻ですが、震源の深さ別に分類して示すと、次の3つの図8〜図10となります。 順に、震源の深さが30km未満、30〜40km、40km以上の場合です。

Lon_lat_maxhour30
図8(クリックで拡大)

Lon_lat_maxhour30_40
図9(クリックで拡大)

Lon_lat_maxhour40
図10(クリックで拡大)

たとえば、南緯30度、西経180度付近(ニュージーランド北東沖)に注目します。 この地域は、図8では赤色、図10では青色に色分けされています。つまり、浅い地震は真夜中より遅く、深い地震は真夜中より早く、最頻発生時刻を迎えており、深さによって最頻発生時刻が異なっています。

ニュージーランド北東沖は、太平洋プレートがオーストラリアプレートの下に沈み込んでいる地域です。
(たとえば http://ja.wikipedia.org/wiki/プレート 主要なプレートの位置図 を参照)

もう一つ、北緯50度、東経180度付近(アリューシャン列島南方)に注目します。 この地域は、図8では青色、図10では赤色に色分けされています。つまり、浅い地震は真夜中より早く、深い地震は真夜中より遅く、最頻発生時刻を迎えています。

アリューシャン列島南方は、太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでいる地域です。

今回はここまで。 ではまた。

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地震電磁気11」カテゴリの記事

コメント

いつも勉強させていただいております。

太陽と地震活動のシリーズ、今後を楽しみにしております。

こんな記事を見ました。ご存じかも知れませんが。

宇宙線に誘発される火山活動の可能性
http://feliscatus.blog77.fc2.com/blog-entry-86.html

筑紫城治

投稿: 筑紫城治 | 2011.12.28 18:29

筑紫城治さま

コメントと情報をありがとうございます。

宇宙線と火山活動の関係について丸山氏が仮説を提示しておられることは知っておりましたが、ご紹介いただいたサイト(とくにロシアの文献)は知りませんでした。 興味深いですね。 調べてみたいと思います。

地震頻度の数十年にわたる変化は非常に興味深いのですが、統計確率的に有意な結論を出すには、残念ながら蓄積されたデータ量が不足する場合が多いように感じています。 それもあって、WSはとりあえず日変化に注目してみました。

地震頻度の日変化について、NASAのFreund博士は、太陽光が駆動する電離層(E層ダイナモ領域)の渦電流(下記参照)が、地殻に誘導電流を引き起こし、その電流が(半導体的に振る舞う地下の岩石の物性に)なんらかの影響を及ぼす結果ではないか、と考えておられるようです。
http://denali.gsfc.nasa.gov/research/mag_field/conrad/spring.html

岩石中の鉱物結晶が宇宙線の照射を受けると格子欠陥が生じて、不純物半導体としてのキャリア濃度が増します。Freund博士のアイデアが正しいならば、宇宙線と地震活動(や火山活動)に関係があっても不思議ではない、というのがWSの現地点での感想です。

投稿: Wave of sound | 2011.12.29 09:54

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